2014年6月2日月曜日

子育て:Maccoby and Mnookin 1992 調査概要

なんとなくわかってきた。この調査は、
裁判所の記録と、および(なるべく)両親に、

書類が提出されてから半年くらい(別居後半年くらい)
一年半(たいがい離婚が成立している)
3年半
の三回、電話でインタビューしている。

子供にはインタビューしてない。両親を通じて子供がどう考えているのかを聞いている。

さらに、子供のウェルビーイングは調べていない。

Amato先生のレビュー

しかしながら、これらの結果は、あまりにも楽観的なイメージを与えるかもしれない。裁判所は共同監護を望むカップルには、共同監護を付与する可能性が高い。カリフォルニア州におけるMaccoby とMnookinによる大規模な調査では、実務的共同監護を選択するカップルは、単一親の監護を選択するカップルよりも、高い教育を受け、高所得であることがわかった;さらに、比較的に敵対性が低く、父親は離婚以前から子どもによく関わっていた(66, 72)。これらの知見は、実務的共同監護が本当に効果的なのかどうかを試験する際に、擬陽性を与える可能性を示している。これらのカップルは最初から立ち位置が違うのかもしれない。

自分たちのの意思に反して実質の伴う共同監護が両親に課された場合、うまく機能するとは考えにくい。これらの条件下で、共同監護は父親と子供たちをより多く接触させるだろうが、両親間の葛藤は増えるだろう(73)。監護上の対立は比較的に珍しいが、Maccoby とMnookinは、こうした監護権の紛争を解決するために使用されていることを報告している。彼らの研究では、母親と父親がそれぞれ単独親権を求めて争ったケースの約3分の1に、共同親権が授与された。さらに、保護者の間の葛藤がより高いほど、より共同親権が付与される可能性が高かった。離婚後に三年半が経過した時点で、これらのカップルは、最初から共同親権を望んでいたどのカップルよりも、より多くの葛藤をもち、子育てではより非協力的だった。この知見は、共同親権の付与は敵対的な両親の関係を改善しないことを示している。

上述したように、研究は、両親の間で離婚後の葛藤が高い場合には、監護権を持たない親と子どもの接触は有害であることを示している。両親が葛藤の雰囲気の中にあり、実質のある共同監護が子どもと親との接触を続けさせるなら、これは益よりも害になる(74)。共同監護はだから、両親ともに協力的で、このような裁定を望んでいるときには、ベストな選択になる。しかし、親どうしが協力できない、または片親が暴力的または虐待するようなケースでは、より伝統的な監護権のあり方が好ましいであろう。

こうあったんだけど、実際にはこれに根拠があるのは、二つ目の段落まで。
その結果、子供のウェルビーイングがどうなったのかはわかんないんだ、調べてないから。
もうひとつ引用されている論文(74)は見当はずれだったことはすでに述べたとおりで。
まだほかにも論文あるみたいだから、調べるけど、かなり根拠があやしくなってる。
最後の段落はAmato先生の、執筆時点での意見、それも根拠がうすいものだったのかも。

また、もしウェルビーイングを実際に調べられたとして、
高葛藤な親ってのは、片方か両方が病んでいる可能性がけっこうあります(エビデンスあり)。
その場合、葛藤がどうのこうのではなくて、もうそもそも親の能力がダメで、
それでウェルビーイングが低下している可能性がすごく高いとおもわれる。
普通の親に関して、一時的に面会をストップして、なんていう実験でもしないかぎり
これは調べにくい(けどそれは非人道的すぎ)。

面会交流を続けることで、葛藤が低減しないのは、たぶんそのとおり。
病んだ親がいっそうダメになる可能性さえあるかもしれない。
ただその可能性があったとしても(そうなったときにおきる事故をふせぐためにも)
葛藤をつくりにくくして面会交流をさせるべきだってふうに
Amato先生も変わってきたんじゃないかなと。


いま谷垣法相と事務方は、共同親権の導入に慎重で、その理由が
「諸外国で問題が明らかになってきたから」を挙げているんだけど。
その根拠がたとえばこのへんのレビューだったら。

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