2014年6月13日金曜日

裁判・司法統計を分析・資料

これで論文を書くんですが、製作過程をあげていきます。

記録の入手


裁判所は、毎年、どんな事件が何件くらい裁判所に持ち込まれて、
それがどう裁かれたかについて、統計資料を出している。
ぺらっとした冊子で、もちろん中身にはまったく立ち入らないんだけど、
それでも貴重な資料ではある。

平成12年からのぶんがネットで公開されている。
それ以前のものは冊子体で、たぶん大きな図書館や、
法学部をもっている大学には所蔵されている。

わが県にはそのどちらもなくて、検索をかけても出てこない。
地裁に聞いてみたら、もちろん持っているけど閲覧させる仕組みがないとのこと
(想像:ほかの資料と一緒になっているから、一般人を立ち入らせるわけにはいかない)。
県立図書館にも寄贈しているから、まずはそちらで見ていただけないかと。

あらためて県立図書館に問い合わせたら、平成5年から10年までの冊子体があった。
国会図書館には、戦後のがぜんぶ揃ってるんだろうけどなあ。。。。

まあでも、これでこの20年くらいの情報が。
冊子体ではもっとさかのぼって記録されている情報もあるので、
それらについては戦後の記録がひととおり手に入ったことに。

調べた内容

おもにこの2つ。
家事事件の、
子の監護者の指定その他の処分(乙4)および
親権者の指定又は変更(乙7)の
調停と審判の新受件数。

ざっとしたことをいうと、
乙4はまだ(離婚が確定していない)共同親権のもとでの子どもの扱い、
乙7は離婚後に親権を変更するときに生じる事件。

平成10年からは、この乙4は、さらに細分して次の4つの内訳を見せてくれている。
・監護者の指定
・養育費請求
・面接交渉 (→面会交流へと名前が変わる)
・子の引渡し

法律では

家事審判法の該当箇所
乙類
四 民法第七百六十六条第二項又は第三項(これらの規定を同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分
七 民法第八百十九条第五項又は第六項(これらの規定を同法第七百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による親権者の指定又は変更

民法の、該当箇所の抜粋
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
民法第七百六十六条
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
 2 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。
 3 前二項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。


(離婚又は認知の場合の親権者)
民法第八百十九条
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
 2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
 3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
 4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
 5 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
 6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。 (監護及び教育の権利義務)

まあ明治期からある法律なんで、デフォルトの親権は母親ですが、そこは鷹揚にみましょう(笑)。

面会交流の調停の新受件数は、連れ去り(追い出し)の発生件数に近いのではないか

そもそも面会交流の調停はどんなときにおきるか?
離婚したいのだけれど、子どもをどう監護するかの意見があわない。。。なんてときには起きない。
これは、会えないから会いたい、だから起きる。
いま引き離されているから起きる。
家を追い出されるか、子を連れ去られるかして。

もともと、離婚のほとんどは裁判書を通さないものだった。
当事者が話し合って、まとまれば、市役所に書類を提出しておしまい。
あとまらなければ、円満調停なり、離婚調停なりをするのが本来だった。
ところが、最初に実力行使をして、
子どもを人質にとった上で交渉を有利に進めようという戦術が使われるようになった。
これが、面会交流を調停で話し合う素地になっている。
子の引き渡しや、監護親の指定も、これに類すると考えられる。
ただこれらはさらに、引き離された子どもが適切な監護を受けていない
状況を受けて、申立られるものと考えられる。

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