2014年2月21日金曜日

子育て・片親疎外という現象の定義

片親引き離し症候群または片親疎外とは

これは、もっとも進行した過干渉が、子供の精神を蝕んでいるときに現れる現象だと思われます。

どんな現象?

看護親によって、もう一人の親から引き離されている子にしばしば見られる現象なのですが、
格別の理由なく、離別親を拒否するように変化している状態を指して、片親疎外といいます。

もうちょっと詳しくは(この分野の研究者である米国のバーネット医師による定義)

片親疎外の定義は、(高葛藤な別居状態か、離婚した親を持つような)
子どもの精神状態を表す言葉で、
公正な理由なしに、
監護親と強い連帯関係をもち、他方の親との関係を拒絶する状態である。
片親疎外の特徴は、
(拒絶された親が邪悪で、危険で、愛するに足りない存在だと誤って思い込む)
異常な精神状態によって、
異常で不適応な行動(親愛的な親との関係を拒否する)をすることである。

それは病気?

この概念は、要は連れ去り事案がより早く発生していた欧米で認識されるようになり、
小児心理学の研究者で、実務家でもあったガードナーが最初にまとめたものです。
そのときは、病気としてとらえられ、だから症例として紹介されました。

でもこれを病気であるとするかどうかについては、いろんな批判があったようです。

とはいえ、この「状態」は、とても頻繁に観察されます。たとえば、
Association of Family and Conciliation Courts
(家庭問題の解決を通じて、子どもと家族の生活を向上させるために働く職業人のための、非営利で国際的な協会)
という国際的な、実務者のための組織があるのですが、
ここでのアンケートによると、回答のあった300のなかの実に98%が、
「ある子どもたちは、その保護親によって、他方の親を正当な理由なしに避けるよう操られている」
ことを認識しているそうです。
しかもこれ、前掲のバーネット医師の定義よりも、ずっと踏み込んでる質問ですよね。
子どもの状態を聞いているんじゃなくて、看護親によるマインドコントロールについて聞いているんで。

実務家としたら、「病気か病気でないか」論争に時間をとられるのは無駄なわけで、
それよりも、目の前の子供のケアに傾注すべきということで、
不毛な議論を避けて「症候群」という言葉を外そうじゃないか、となってきているらしい。
現場を知っている人は、気づいていることが多い現象です。

ちなみに、英語では片親疎外はParental Alienation (PA)で、
片親引き離し症候群Parental Alienation Syndrome (PAS)です。
英語ではSyndromeがつくかつかないかの違いしかないけど、和訳するとけっこう違ってくるのでした。
バーネットの定義は、PAの方ですね。ただ、それがもたらす病的な状況を知っておく必要があるので、
ちょっと解説が付帯している。

もっと知りたい

おすすめ本を2冊。

離婚で壊れる子どもたち 心理臨床家からの警告

棚瀬一代(著), 光文社 (2010/2/17)
ISBN-10: 4334035507

離婚毒―片親疎外という児童虐待

R.A.ウォーシャック (著), 青木 聡 (翻訳) 誠信書房 (2012/5/15)
ISBN-10: 4414414474

ネガキャンについての蛇足

この概念には批判が多いのです(またあとで、項を改めて)。岡目八目的にみると、その原因のひとつには、
利権団体によるロビー活動、あとネット等をつかったネガティヴ・キャンペーンがありそう。
このへんの情報を集めていると、そうしたネガキャンのサイトに行き着くことが多いんですが
すごいですよ内容。
まあ要は、ある種の利権団体が、これを面白くないと見ているらしい。
またそのキャンペーンに乗る個人が、けっこういるんだな。
まあこれらは、エヴィデンスに基づかない主張をしがちなので、うーん。
議論になってないことが多いかも。

研究者は静かな環境を好むもんです(目立ちたがりも、まあ、たまにはいますが)。
でも、社会にフィードバックするのが仕事なので、
ネガティヴ・キャンペーンに巻き込まれることはあります。
遺伝子組み換え作物とか。
農薬とか。
実験動物とか。動物舎が、襲撃されることもあります。
ある種の研究機関では、所長個人の家の前で、街宣車が終日、がなってたこともあります。
日本ですよこれ。奥さんが体調を崩しちゃって。それはテロじゃないのかと。
街宣車に乗っている人たちはたぶん、仕事で、食うためにやってるのでしょう。
主張が正しいかどうかは、彼らにとってあまりたいした問題じゃないのかもしれない。
でも研究者は、真理と対話することに忙しいんです。静かに見守ってあげてほしい。
新しい事実は、彼らから社会へ紹介されることになるんだから。

こういう利権団体のキャンペーンと科学って、相容れないものです。
自分の都合のいいことを声高に叫ぶのがキャンペーン(戦闘・戦役)。
真理を目指すのが科学。

あと、キャンペーンをはるヒトって、あんまし長い目でものを見ないですね。
片親疎外は子供の状態だけど、これ表裏一体で、監護親の状態でもある。
後に述べますが、この状態の看護親、すごく支配的で、ジコチューで、共依存がある。
共有精神病性障害を患っていると考えられます。これもまた治療対象です。

要は、このキャンペーンをはっている人は、
自らのクライアントの治癒の機会を奪っているんですよ。
こういうことに考えが至らないなら、浅薄というか、馬鹿。
クライアントが治っちまえばクライアントでなくなるから、ということなら屑。
バカなのかクズなのか。どっちなんすかねえ。

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