2014年12月27日土曜日

配偶者に子どもを連れ去られた親の方に

あなたにDVの自覚があるのなら、これはあなたのためのブログではありません。
どこか別のところをお探し下さい。


さてたぶん、驚き、慌てふためいているところに、裁判所からの呼び出しが来ると思います。
それは婚姻費用の請求ではないですか?

あなたと同じような立場のひとが、年間に数万人ずつ新しく誕生しています。
以下は私の、感想戦のようなものです。
ちょっとビターです、反省がつまってるからです。
ご自分で判断して、使えそうなところをお使いください。


まず、ネットで探すと、団体がいくつか見つかります。
それらに加わって情報を得ましょう。

自治体・警察・婦人相談所・児童相談所には、あまり期待できません。
かれらは、裁判所が関与しているケースには、触りたくないのです。剣呑だから。
それでも、相談はしておきましょう。苦情を申し立ててもいい。
ただし、彼らを敵にしないように注意しましょう。

あなたの配偶者の行いは、日本では「灰色」です。
適法とも言いがたいけど、違法とも言いにくい状態です。
おそらく配偶者は、弁護士等と相談して、理論武装をしています。面倒です。
すると、まず自治体は動きません。学校そのほかもです。
しかし、現実に仕事をしているひとに、状況を知ってもらうのは良いことです。

信頼できる弁護士を探しましょう。それは、滅多にいません。
あなたは客単価が低い、効率の悪い客です。
それでも親身になってくれる弁護士は少ない。
探せなければ、自分でやるしかありません。勉強してください。
ぜんぶ任せても大丈夫な弁護士は、本邦にはたぶんいません。
裁判所で、いま自分たちがなにをやっているのかわからないようではダメです。
それを当事者能力に欠ける、といいます。かならず負けます。
勉強しましょう。

もし今からでも、間にはいってくれる人やカウンセラーがいたら、貴重です。
うまくお願いをしてみましょう。

配偶者や、その家族が、精神的におかしくなってませんか?
はっきりいえば、あなたの配偶者の行為は、正気の沙汰ではないです。
よっぽど思い切ったか、あるいは、単に狂っている可能性があります。
本人か、それを支えているおかしい人がいるのではないですか。
この種の事件で、相手方の実家が強く関与しているケースは多いです。
かれらは、自分たちの老後のために、人出がほしいのです。

残念ながら、係争がながびくうちに、その状態はどんどん悪化します。
放っておいても悪化したかもしれない。でも、裁判所でいろいろやるうちに、
「自分はあくまでも正しい」という妄想をこじらせて、手がつけられないほど
狂っていってしまうもののようです。

そうなったときに、子どもの安全が脅かされる可能性が大きいのです。
それを避けるためにも、家裁での紛争はなるべく短く、です。
あなたの精神状態も、いつまでも保ちません、たぶん。
係争を続けるのは、ストレスフルなんです。

さて、裁判所の機能には限りがあります。
そこは人を諭す場所ではありません。被害を取り戻す機能もありません。
子どもの監護に関しては、あまり触りたがりません。
事件数が多すぎてパンクしているのです。うんざりしています。
さっさと終わらせたがっています。

認めてもらうべきなのは、面会交流です。これで子どもに会えるようになります。
月に1-2回がいまの相場です。
それでいいからということにして、とにかく合意をとりつけることです。
早くしないと、子どもは相手に洗脳されます。あっという間です。
しかし、家裁での調停は、1か月に1回もおこなわれません。
家裁は、子どもを保護するための機能をもっていません。
あなたがやらなきゃ誰もやりません。

ほとんどのケースでは、これで面会交流ができるようになります。
子どもを拐うような人とは、婚姻関係の継続は困難でしょう。
しかし戻せるなら、それが子どものためではあります。
もういちど努力をしてください。
離婚はあとでゆっくりやればいいですし、裁判所を通す必要はありません。
(離婚届が勝手に出されたときに受理しないように、役所に申し入れをしておきましょう)。

相手方が面会交流を拒否するために、さまざまな嘘をついてくるかもしれません。
とくに、子どもが拒否をするからというのが、よく使われます。
そのときは、戦うべきだと思います。子どものためです。
おそらくいま、あなたの配偶者は深刻に病んでいます。
こうなる人が、いま年間に2500人くらいいます。
精神疾患の罹病率としても、こんなもんです。
お気の毒ですが、現実に向きあいましょう。あなたの相手方は狂っていて、
しかし裁判所はそれを確認する手立てをもっていません。
相手方の弁護士は、それに気付いていたとしても、相手方の利益のために動きます。
子どもの利益ではないです。弁護士を雇っているのは相手方です。
それが弁護士の行動原理です。

病んだ親が子どもを抱え込むと、回復不能な障害が子に残ってしまいます。
これを可能なかぎり避けるのが、あなたに課せられたミッションです。

戦うと決めたのなら、ちゃんと戦いましょう。
裁判所は真実をみてくれるわけではありません。
彼らは神様じゃないんだから、いろいろ期待してはダメ。
自分で勝ち取らないといけません。
泣いているヒマがあったら、戦略を考えましょう。

子の引き渡しと監護親の変更を申立てましょう。
これは残念ながら、まず勝てません。
しかし、紛争を受けて立つという意思表示になります。
家裁に、試行的面会交流をお願いしましょう。
調査官の立会のもとですが、子どもに会えます。仲良く、楽しくやってください。
まともに会えることがわかれば、裁判官は面会交流の審判を下します。
これには、ある程度の法的な拘束力があります。

それでも面会交流が行われないのなら、間接強制を申し立てましょう。
それでもダメなら、また引き渡しと、相手方の親権の一時停止を申し立てましょう。

しかし、どこかの段階で、ほんとは、相手方に医療を。
病気は、本人のせいではありません。本人も被害者なので、治せるところは。
そして、ひとり気が狂ったひとがいると、まわりは本当に困惑します。
まして、それが子どもを人質にとっていたら。
だから、その被害で子どもがめちゃめちゃになってしまう前に、
治療を開始したいところです。裁判所にはその機能はありません。


グッドラック。
あなたのためにではなくて、あなたの子どものために。
配偶者の気がふれていることに向き合わなかった、あなたにも責任の一端はあります。
そこは、背負っていきましょう。


追記

調停中にやっておくべきこと
裁判官へ正しい情報をあげていきましょう。

調停委員は裁判官に報告してくれますが、
ぜんぶ情報が行くわけではないですし、
報告内容を覚えていてくれるとも限りません。

また調停委員、おトシの方が多いです。いろいろ、忘れますわね。

弁護士は調停のあいだに書類を提出するのを嫌がりますが、
不調になって審判がでるまでに間がなかったりもします。
また、どこかの段階で調停案がでてくることもあります。
これは審判の内容の案でもあります。だから、審判になってから
陳述書だすようでは遅いです。

調査官調査が出てきたとき、彼らはたぶん聞き取りしかしないから、
相手方が言った嘘がそのまま出てきてたりします。

こういうの、放っておいたらダメです。
次々に陳述書をかいて出しておきましょう。
基本的に相手方にも開示されますから、不要な刺激を避けて、
しかし事実は事実として明らかにしていきましょう。

調停案にたいしてコメントがあるのなら、
それも文書化しておきましょう。
やっておかないと、調停案を受け入れたことになります。
まるで、最後の最後でワガママを言い出したので不調になった、みたいな構図に。
そこにどんな理不尽なことが書かれていても、
調停が成立すれば、法的な力を持ちますよ。

陳述書は書式がかなり任意ですが、ぐぐるといっぱい出てきます。
左マージンを大きめにとる、ページ番号をつける、捺印する。
弁護士さんがいれば、仕上げと提出は任せておけます。

面会交流の方法と意義
面会交流は、遊園地やゲーセンで遊んだり、映画を見たりすることじゃない。
本来それは、一緒に暮らすことの代用です。
非日常のなかでしか子どもと会えないのは、面会交流としては意義が薄い。

学校の行事って晴れがましいものだけど、
家で食事をするほうが何倍も重要。
宿題みてあげたりね。

子どもは本来、多くの人とふれあって成長するものだから、
連れ去られた子があなたの周りにいる人達と交流することも重要。

試行段階でそれらが満たされていないのなら、それは要改善です。
面会交流の条件を決めるときに、相手方にもとめていきましょう。

あと、子どもは巣立っていくものです。
大学にはいる18には、もともと、しょっちゅう会うのは難しくなります。
どのみち。いずれ。子離れはせねばなりません。
それができないのは、それはそれで問題。

いい関係を、それまでに築いておきたいですね。

2014年12月15日月曜日

社会科学と幼児の養育計画:全会一致の報告書

Social Science and Parenting Plans for Young Children: A Consensus Report

ぐぐると、いろんなところにPDFがおちています。
(たぶん、レビューたのまれたひとが上げているんだとおもう。)

なかなか、ありえないような仕組みのレビューです。
ものすごくたくさんの人がそれを押しているという
お墨付きででています。
要は、乳幼児が父親に宿泊面会をすることの是非を調べた
多くの研究例から、それはやるべきだとした、まとめです。
あまり父を全面にだしてないけど、当然、母がみているはずって言外の前提があります。

こんなのピアレビューがまわってきたら、何をいえばいいのかな。
いまちょっと全文を訳す時間がとれないんだけど。
要約と、一部だけ。


社会科学と幼児の養育計画:全会一致の報告書
Richard A. Warshak

概要
この論文では、2つの問題を取り上げる。ひとつは若い子供たちの時間を、ひとりの同じ親の監護のもとで過ごさせるべきか、両方の親の間でより均等に分けるべきかということ。もうひとつは、4歳未満の子どもが、毎晩同じ家で寝るべきか、両方の家に宿泊するべきか、である。両親が互いに離れて住んでいるとき、他に問題がなければ、4歳未満の子供でも両親の家を行き来するべきだという証拠を、熟練した多くの研究者・実務家たちが認めている。未婚や離婚の両親の間で父と子の関係が脆いことがよく報告され、複数の研究から子育てへの父親の関与およびドロップアウトの防止の因子として宿泊が特定されている。しかし宿泊について正味のリスクが報告されていない。以上をふまえて、政策の立案者や決定者は、父親宅に幼児を宿泊させないことが、父子の関係形成を台無しにする可能性があることを認識すべきである。乳幼児の定期的で頻繁な訪問、宿泊を含む、の開始を遅らせるべきだという証拠は得られていない。理論的にも実務的にも、ほとんどの幼い子供にとって宿泊つきの訪問が好ましいとする考えが、宿泊が子どもの生育に悪影響を及ぼすという懸念よりも、はるかに強い説得力を持っている。

110人の研究者と実務者がこの論文を読み、コメントを寄せ、改定を引き受けた。全ての細部はともかく、彼らはこの論文の結論と勧告に賛同している。彼らの名前と所属を補遺に掲載した。

# ここで、例外がちょっとあることが匂わされていますが、その部分。
# 本文の最後になります。

特殊事情
いくつかの状況は、通常と大きく異なるために、大半のケースで適用されるのと同じ一般的な推奨事項が役立たない。これらの状況は、親密なパートナーへの暴行歴、信憑性がある子どもへのリスク:ネグレクト・身体的・性的・心理的虐待、他方の親を疎外する行為・たとえば他方の親が監護しているときずっと不当に干渉すること(Austin, Fieldstone, & Pruett, 2013; Pruett, Arthur, & Ebling, 2007; Pruett, et al., 2012; Warshak et al., 2003)、子の誘拐歴、子どもの特別なニーズ(例えば、嚢胞性線維症や自閉症)、両親間の地理的な隔絶が含まれる。どちらかの親の転居を除いて、これらの状況の各々は、子供をまもるために特別な保護手段を必要とする。
転居
子どもをつれて片親が転居することは、子育て計画の実現性を大きく変えてしまう。また、子どもから他方の親を排除し、記憶を消し去ってしまうことを容易にする、とくに転居先が海外であるときは (Warshak, 2013)。愛着理論と研究から、子供が少なくとも3歳になるまでは転居を待つように勧告されている (Austin, 2010; Kelly & Lamb, 2003)。すでに述べたように、かたい親子関係をつくるためには、子どもたちは両親との頻繁なかかわりを必要とする。幼若な子どもたちは、長期の別離にたいして、弱い抵抗性しか持っていない。彼らの変化はより速いので、子どもとの同期を維持するためには定期的な接触が必要である。
Braver, Ellman, and Fabricius (2003)は、子どもが片親から遠く転居することの悪影響を発見した。それにもかかわらず、一方の親から幼い子供を長く分離したときの長期的影響に関して、実証的な研究はなされていない。調査者とセラピストが、問題のある子どもたちへの彼らの診療的な経験から、子どもの発達に関してのニーズに無頓着な子育て計画にたいして、懸念とガイドラインと表明している。これらの個々の観察に基づいた結果を一般化することについては注意を払う必要がある。セラピストが見るのは、状態がよくない子どもである。理論的におかしいとして採用を避けるようなプランを実行したときに、どのくらいの子どもたちが恩恵をうけたり不変だったりするのかは、わからない。

2014年11月18日火曜日

ひとつ前の記事に大きな間違いが

ごめんなさい訂正です。

ひとつ前の記事、Philip M. Stahlの著書であるとしていたのですが、これは間違いでした。
Stahlの本は国内の図書館にはなくて、でもペーパーバックになったくらい売れたらしく(へえ)
いま取り寄せています。
ただどういうわけか遅着の連絡が入ってるので、まだしばし読めそうにありません。
キンドル版のほうが安くかつ早いのですが、
デジタルデバイドなしゃけ父でございます。
Padのたぐいはいまいち使えてないのでございます。

なんにしても、お恥ずかしい限りです。
ご迷惑をおかけいたしました、お詫びして訂正いたします。
正しくは

Rohrbaugh JB, A Comprehensive Guide to Child Custody Evaluations: Mental Health and Legal Perspectives, Springer, 2008
でした。


m(__)m しゃけ父

2014年11月9日日曜日

Rohrbaugh によるマニュアル、19章の抄訳 (完了)

Philip M. Stahl、Conducting Child Custody Evaluations、SAGE Publications, Inc (2010)

##### ↑ これ取り違えでした、申し訳ないです。
正しくは、
Rohrbaugh JB, A Comprehensive Guide to Child Custody Evaluations: Mental Health and Legal Perspectives, Springer, 2008
こちらになります。

19章 親による子どもの誘拐

原文の雑なPDFはここ
Word版ダウンロード 

親権評価者はときに、片方の親からこう訴えられることがある。いわく、相手方が面会の際に時間通りに子どもを返さない、または「州を超えて連れ去って返さないぞ」と脅す。こうした主張を評価するためにも、親による子どもの誘拐の特徴、リスク、心理的な影響を理解することが重要である。

定義と頻度

親による子どもの誘拐(拉致、かどわかし、親権の妨害などとも標記される)とは、親や家族が子どもと面会する権利ないし親権に反して、子どもを取りあげ、引き離し続け、あるいは隠すことと定義される。研究上または実務上、これらは軽度(広い意味での誘拐)と重度(操作対象になる)に分けられる(Chiancone, 2001)。

軽度

年間に354,100件の、
親権の合意、法令、そのほかに違反して子どもを連れ去る
法令で決められた、ないし合意した時間を過ぎても子どもを返さずに、一晩以上戻さない
事件が起きる。

重度

年間に203,900件、次にあげる項目に一つ以上あてはまる事件が起きる。
・子どもを連れ去ったことまたは居場所を秘匿する(44%)
・州外に連れだし、連れ戻すことを困難にする(17%)
・一方の親に会わせまいとする(76%)
・監護状況を永続的に変えようとする(82%)

ここで注意したいのは、ほとんど半分(46%)のケースで、残された親は子どもがどこにいるのかを知っているか、誘拐の状況を知らされていないことだ。そこで、これら親たちは、子どもが行方不明になっていると認識しないことがある。4割ほどの親は、様々な理由から、この誘拐に関して警察に連絡していない。この消極的な態度もある程度は理解できる、なぜなら多くの警察署はこれらの案件を自分たちでは処理せず、地裁やその他の機関へと行くように指示するからだ。

誘拐された子どもたちは、かなりまちまちな期間、親と引き離される。一日以内(23%)、一週間以内(46%)、ないし一ヶ月以上(21%)。この1999年の全米調査の前までに、94%は返されている(Hammer, Finkelhor & Sediak, 2002)。

誘拐される子どもの特徴

年齢

2-3歳の子が最も誘拐されやすい。かれらは運びやすく、隠しやすく、言葉で抗議することも少なく、自分たちの情報を他の人に説明できない(Johnston & Girdner, 2001)。全米調査では、44%の誘拐された子どもは6歳以下で、79%が11歳以下だった(Hammerら 2002)。

性別

男児も女児も同程度に誘拐される(Hammerら 2002)。

人種

人種による偏りはない(Hammerら 2002)。

誘拐する親の特徴

誘拐がおきる家庭は親同士の葛藤が強い状態で、その半分が別居から離婚への過程である(Chiancone, 2001)。実際、親権の評価中に誘拐が起きることは多く、実際、単発・くりかえしの誘拐が、裁判所が調査を命ずる理由であったりする。そこで、誘拐が懸念されるハイリスクな家庭を見つけ出すことは重要である。

誘拐は様々な人々が起こすが、研究によって、その間に共通性が見つかっている。まずそれら共通性をひとつずつ説明し、6パターンの誘拐親のプロファイルにそれらがどう関わるかを見る。そしてこれら研究が指摘する誘拐の危険因子について解説する。

他方の親への態度

誘拐親は、他方の親の子どもにたいしての価値を否定したり無視したりしがちである。 なぜ、他方の親と親業を分担すべきなのかを、認めようとはしない。 (Johnston & Girdner, 2001)。

誘拐の動機

誘拐親の一部は、より裁判に有利な州を探して、あちこちへ移りまわる(米国では州ごとに司法も法も独立しているから)。これは全米で統一のUC-CJEA法(2002年)や、その前身のPKPA法(1980年)が全ての州で批准されるまで流行していた。

誘拐親の一部は、復縁を迫るないしやりなおす意図をもっていて、別の親は残された親を罰したり傷つける目的をもち、また別の親は親権や面会の権利を失うことを恐れている。ひどいケースでは、誘拐親はパラノイア性妄想をもっていて、残された片親の悪い・恐ろしい性質を信じこんでいたり、法をまったく無視するパーソナリティ障害をもっている(Chiancone, 2001)。

一部の誘拐親は、子どものことを気遣っていて、残された親からの虐待やセクハラ、遺棄などから保護しようとしている。実際25-50%の誘拐のケースで、児童虐待やDVの主張がある。これらの主張は連れ去り親がすることが多いが、残された親から、または両方からということもある。

DV

誘拐が子どもの保護のためだったという訴えは頻繁になされるが、しかしこれが正しいものとも限らない。誘拐者は、残された親よりももっと暴力的であり得る。たとえば75%の誘拐父と25%の誘拐母は、暴力的な行動をとったことがある(Grief & Hegar, 1993)。より高いDVのレベルが誘拐を誘発するわけではない;Johnston(1994)はDVのレベルが、誘拐があった家庭と、激しい法廷闘争をしている家庭で違わないことを報告している。

就労状態と社会的な地位

カリフォルニア州での50の誘拐家庭と、57の誘拐はないものの激しく対立している離婚家庭を比較することで、JohnstonとGirdner(2001)は貧困に関連した一群の因子をみつけだした。誘拐親はより貧困で、失業していて、若く、未婚で、小さい子をもち、犯罪歴をもつ傾向があった。誘拐親は経済的・精神的な支援を海外から受けている傾向があり、これは誘拐親のなかに、移住してきてからの日が浅い人が含まれがちであることを示唆している。海外からの支援はさらに、誘拐が異文化間結婚や国際結婚で起きがちであることとも関連するだろう(Chiancone, 2001)。

JohnstonとGirdner(2001)はまた、ほとんどのカリフォルニア州の誘拐親が、それが法律やモラルに反する行為だとは考えず、その行いを法務長官のオフィスに関わるようになってからでさえ変えようとはしないことを発見した。

誘拐を支援する人々

ほとんどの誘拐親は社会的なネットワークによるサポートを受けている。家族、友人、社会的なコミュニティ、 カルト的なグループ、反社会的な地下組織。このサポートは実務的なサポート(金、食料、宿) にかぎらず、誘拐という違法性の高い行動を正当づける動機やモラルのサポートにもおよぶ(Johnston & Girdner, 2001)。

性別と子どもとの関係

全米の調査では、誘拐親の2/3が父である(Hammer ら2001)。子どもとの関係は
・生物学的な父    53%
・生物学的な母    25%
・祖父母       14%
・きょうだい、おじおば、母の愛人    6%

カリフォルニア州の研究で、JohnstonとGirdner(2001)はそれぞれ父母ともに同程度に誘拐をするが、タイミングが異なることを発見した。父は何の親権の決定もされていないとき、母はそれが裁判の問題として扱われてから、誘拐する傾向があった。

誘拐の場所と季節

63%のの誘拐が、誘拐親が適法な状態で子どもを監護しているときに起きる。つまり、定められた時間内に子どもを返しそこなった場合である。子どもたちはその誘拐のまえ、家か庭にいる(36%)か、だれかの家か庭にいる(37%)。子どもが学校やデイケア(7%)や公共の場所(8%)から誘拐されるのは珍しいことだ。35%の誘拐は6,7,8月におきている。これはおそらく、子どもが夏のあいだを非監護親と過ごし、夏の休暇にでることと関係するのだろう。

子どもを誘拐する親のプロファイルと危険性

プロファイル1 予告または実際の誘拐があった場合

 誘拐を疑う証拠がある場合、ないし誘拐の前歴がある場合、逆に面会を行わない場合には、リスクは高い。
そのほかのリスクファクターは
・その親が失業している、ホームレスである、地域との情緒的・経済的な絆がない
・誘拐をするための準備があること、協力者の存在
・預金を引き出す、金を借りる

この場合、裁判所は特別な介入をしなければならない。

裁判所による命令 監護親の指定、面会交流の詳細な時間、受け渡しの日付と場所の指定。監護親に、どの裁判所がどの管轄を取り仕切っているかの情報を、他方の親がそこのエリアから出てしまうまでに教えておくこと。命令は、その条項に違反したときにどう扱われるかまで明示すべきこと。両親はそれぞれその親権に関する命令書のコピーを常に携帯すべきこと。

パスポート 裁判所の命令は、パスポートと出生証明書の発行機関に提示することができる。両親ないし裁判所がそれを認める書類を提出しないかぎり、その親がそれらを発行しようとした際には、親権をもつ親に通告するように願いでることができる。その子どものパスポートにも、その旨の許可が必要であることを明記できる。それら子どもと両親のパスポートは、中立な第三者に預からせることができる。

抵当 裁判所は、それら親子が休暇のために米国を離れる際には、抵当を請求できる。

通知 親権に関する命令のコピーを、学校の関係者、デイケアの施設、医療関係者に、子どもを引き渡さないこと他、どんな子どもと非監護親のことをふくめ、通知されるべきである。

刑事責任 誘拐を幇助・教唆する親戚やそのほかの人々に、刑事責任について警告されるべきである。もしかれらが幇助・教唆したときはほとんどの州で重罪になる。

監視つき面会交流 たいへん厳しく、お金もかかるが、くりかえしておきる重度の誘拐の際には用いられる。

プロファイル2 誘拐親が、児童虐待があったことを確信していて、社会的なサポートがある場合

もし親が、虐待がおきていたことを信じこんでいてそれがこれからも起きると思い込んでいる時、親は子どもを救わねばいけないと思うだろう。これらの親は、裁判所の人々がかれらの訴えを真面目に聞かないとおもったり、あるいは調べるのに失敗していると思うだろう。しばしばこれらの親には支援者がいて、支援者は自分たちの利益のために動く――それは家族のだれかだったり、親が新しい身分を手にいれるのを手助けし隠れ場所を提供する地下組織などだったりする。
こうしたケースへの介入は、子どもたちを虐待と誘拐の両方から保護せねばならない。

・介入 慎重で丁寧な調査は、訴えている親を安心させ、落ち着かせるだろう。

・監視 訴えられている親(おそらく問題はないとき)を守り、子どもを虐待から護るために、調査中の面会交流には監視をつけるべきである。これは子どもがとても小さくて、親の訪問を怖がっているときにも有効である。

・里親 もしどちらの親やその家族ともに重篤な精神疾患であると診断されたときは、調査中は子どもは中立な第三者がみるべきである。その際、面会は監視つきでおこなうべきだ。

プロファイル3 片親が妄想性パラノイド障害の場合

この診断は珍しい(訳注)が、これに該当する親は通常もっとも危険で恐ろしい誘拐者になる、とくにDVの前科があったり、精神病歴があったり、児童虐待の前歴がある場合は。 通常かれらは離婚によって打ちのめされていて、相手方からひどい扱いをうけたり搾取されたと信じこんでいる。 復縁を望んでいたり、逆に復讐を夢想していることもある。このプロファイルでは、片親がはなはだしいパラノイドを示し、配偶者に道理のない信じこみや行動をし、あるいは配偶者に病的な妄想を抱く。配偶者が自分自身や子どもを傷つけるか、その計画をもっていると訴える。病的な親は、子どもを一個の人間だとは認識していない。むしろ、自分と融合した被害者として扱う(このとき、一方的な判断で子どもを救おうとする)か、憎むべき相手方の一部として見る(このとき、突然に遺棄したり殺害したりする)。 こうした極端なケースでは、介入は子どもと、精神病的でない親の保護に焦点をあてる。

・監視つき面会 精神病的な親には特に安全に配慮した施設を用い、とくに子どもとの関係は綿密にモニターしながら行う。

・面会の一時休止 病的な親が次のことをくりかえして面会のルールに違反するときは中断するべきだ。(1)他方の親を侮蔑すること(2)子どもや相手方の情報を集めようとすること(3)子どもを脅したり、物理的に傷つけること

・安全なプラン 監護親は、重大なDVのケースと同様に、安全な面会のプランの策定のために手助けを必要とするだろう。

監護親が精神障害者である場合は、その状況はより危険である、訴訟や親権の調査のプロセスは誘拐や暴力を引き起こす可能性があるからだ。そこで次のことが必用になるだろう。
・裁判所の命令 による緊急の精神病の調査

・一方だけの聴取 (精神病的な親には知らせないで)精神病と親権の詳細な調査が終わるまでのあいだ、子どもを一時的に監護するために

・守秘義務の破棄 関係する全ての専門家とこのケースについての情報を共有するために

訴訟後見人、調査官、ペアレンタル・コーディネーター による家族の監視と、裁判所の命令が実行されていることの確認が必用になるだろう。

プロファイル4 誘拐親が深刻な反社会性障害である場合

もうひとつの少ないケース(訳注)反社会性障害の親は、あらゆる権威――司法システムも含む――を軽蔑してきた経歴と、法律をやぶることに特徴がある。 彼らの他者への関係はいつも利己的・搾取的であり、相手を操ろうとする。 彼らは、自身がより優れていて、そう考えるべき資格をもっているという大げさな信念をもっていて、 他者をコントロールする一方的な欲求をもっている。 妄想性パラノイド障害の場合と同じく、反社会性障害の親も子どもを、自分とはことなる願いや権利をもった人間だとは考えない。 その結果、彼らはしばしば子どもを、明らかに復習の手段、罰、ないし配偶者からの戦利品として扱う。彼らは誘拐やDVを刑罰の一種であると考える。

この状態の親への介入は、かつてのパートナーと子どもを保護することに焦点をあてる必用がある。

・面会交流 これは中断するか、監視つきにすべきだ。

・懲罰 親権にたいする命令に違反があれば、罰金や懲役を科すべきである。

・守秘義務があるセラピー療法を避ける もともとこの患者はセラピーに必用な、カウンセラーとの関係をつくることができない。むしろ、守秘義務を逆手につかって、他人(カウンセラーを含む)を支配しようとする。

・ペアレンタル・コーディネーター による長期間の家族の監視が必用である。

(訳注) このもとになったJohnstonらの調査結果によると、70サンプルのなかの3件ずつが、妄想性パラノイド障害と反社会性障害にそれぞれ当てはまっていた(4%)。これをもとにして二項分布モデルで信頼区間を推定すると、罹病率の95%信頼域は1から12%の間である。ちなみに、より新しい精神病のマニュアル(DSM-5)は、一般の人々のなかに、それぞれ数%ずつの罹病率を推定している。また高葛藤な夫婦を調査したJohnstonの別の研究では、2/3という高率でパーソナリティ障害が観察されている。調査方法によって罹病率の推定値は変わるが、こうした集団のなかではこのような疾病はさほど稀なものではないだろう。またDSM-5では、反社会性障害患者がかならずしも法に触れないことを紹介している。前科を持つものも多いが、必須の要素ではない。

プロファイル5 異文化間の結婚の場合

異文化間の婚姻をした親たちは、別居と離婚過程の精神的な支えとして、彼らの民族ないし宗教のルーツに帰りたがることがある。国外にいる大家族と深いつながりがある親が深く悩んでいるとき、子どもをその出自の文化のなかで養育するように試みることがある。

もちろん、全ての異文化結婚の親が誘拐を試みるわけではない。こうしたリスクがあるのは(1)出自の文化、地元、家族を過度に理想化する(2)米国の文化に反対する(3)子どもの多文化な立場を認めない親である。もしその親の出自が「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」(ハーグ条約)に加盟していないとき、子どもを取り戻すのは、不可能ではないにしても困難である。(以下、米国内の事情であるので省略)

プロファイル6 司法によって疎外されている親

JohnstonとGridnerは、親が米国の司法によって不当に人権を損なわれていると考え、親族が家族問題を解決しようとしているとき、誘拐が起きやすいことを発見した。

・貧困と低学歴 38%の親は貧困で、低学歴で、親権や誘拐に関する法的知識を欠き、親権の訴訟を正常におこなわしむる法的な説明も精神的なカウンセリングも受け付けない。

・犯罪歴 50%の誘拐親と40%の残された親には逮捕歴があり、家裁がかれらの窮状に対応してくれるとは考えていない。

・男女同権の法律への反発 なんらかの民族、宗教、分化のグループに属する親は、子どもは母とその親族が世話をするべきだと考えている。

・DV被害者 DV被害者は誘拐をするリスクがある、とりわけ、裁判所が彼らを保護しなかった場合に(訳注)。彼らが誘拐をした場合、加害者はそのことを強調して、DVについて印象を弱めようとし、また被害者をコントロールしようと企むだろう。

・司法から疎外されている親への介入 そのほかの、社会的・経済的に不利な状態にある親と同様に、焦点は教育と公共サービスにある:
法的な相談と弁護
信頼できる精神的なカウンセリング
公共サービスにつなぐ助言
関係する家族と社会的ネットワーク もまた短期間の介入対象となるべきである。

(訳注) DVが誘拐を惹起するというこの推定は、先に述べられたJohnstonらの調査結果では確認されていない。

親による誘拐の危険因子

以下に、誘拐がおきる可能性が高まるファクターについてまとめる。これらを使って考えるにあたって、 親権あらそいの際に、虚偽の誘拐が、虚偽の児童虐待や虚偽のDVと同じように訴えられる可能性を心に留め置くこと。 よりたくさんの因子があれば実際に誘拐するとは限らないし、それがおこったとも限らない。これらは可能性を示している、 それを念頭におきながら、ケースごとに詳細を調べていくべきだ。

ボックス73
誘拐の危険因子

誘拐親の特徴
・他方の親を、子どもに無価値か、脅威だと考える
・他方の親にたいして不合理で病的な妄想を抱く
・反社会性障害―あらゆる権威を侮蔑する
・社会との経済的・情緒的なつながりをあまり持たない
  就業していない・ホームレスである
  貧しく低学歴である
  若い
  未婚
  犯罪歴
・別の地域ないし国とのつながりと支援
・男女同権への反発
・誘拐への支援の存在
誘拐される子どもの特徴
・6歳以下
・男女を問わない
・人種と民族を問わない
状況の因子
・子どもへの性的ないじめの主張
・DVの主張
・異文化間の婚姻
・誘拐の計画や脅し
・預金の移動、引き出し、借金
・子どものパスポートの発行ないし隠匿
(ボックス ここまで)

誘拐による心理的な打撃

誘拐や、誘拐するという脅しは、家族システムに混乱を招く(または、誘拐は混乱の帰結でもある)。 予定した時間を守らない親をもつ子どもはしばしば、恐れ・怒り・混乱を抱えている。 多くのこうした親は他方の親を口汚く非難し、別の親と会ったり話したりできないように脅したり、その親のもとに返さなかったり、監護に関する他の約束も反故にしたりする。 連れ去られた親もひどい不安・激怒・恐怖・抑うつを経験しながら、たいへん怒っている。

もっともよく見られる違反は、一時間か二時間の遅れか、または家族の記念日や祝日への子どもの参加の制限である。 これらの違反は、法的・研究上の誘拐の定義である、一晩より長いもの(Chiancone, 2001)に比べれば軽度である。しかし 1999年のNISMART-2研究ではもっと厳しい定義「連れ去って手元に置くことに、隠す・闘う・法でみとめられた権利を損なわせる意図があること」 (Hummer ら2002)とされている。誘拐が精神的にあたえる衝撃は、誘拐に力が使われる、子どもが隠される、誘拐が長期にわたることでより大きくなる (Chiancone, 2001)。

誘拐された子ども

複数の研究で、誘拐されてから監護親のもとに戻された子どもの精神的な適応を調べている(Chiancone, 2001)。 これらの研究は、全ての子どもたちになんらかのトラウマがあったが、特に長期にわたる誘拐で、ずっと悪い影響があった。 1.長期にわたる誘拐の被害者は、居場所を特定されないために転々としていたため、不安定な生活を余儀なくされている。 2.数週間以内であれば、子どもたちは元にもどれるという希望を捨てずにすむので、この経験を冒険の一種とかんがえることができ、誘拐親にたいして過剰な忠誠心を抱くことがない。 3.小さい子どもは徐々に残された親のことを忘れるが、大きな子どもは混乱し、両方の親を憎むようになる――誘拐親にたいしては、他方の親と引き離したことにたいして、そして残された親にたいしては、救いだせなかったことにたいして。

誘拐された、あるいはその脅迫を受けてきた子どもの精神病理的な調査によると、子どもは残された親に対して悲痛と憤怒を経験し、 不安を含む抑うつや、摂食障害、睡眠障害、泣き叫び、気分変動、病力的行為、恐怖の兆候を示す。ほかの誘拐のトラウマとしては、人を信じられないこと (特に権威ある大人、親戚にたいして)と社会的な引きこもり、同僚との関係が希薄になること、抑うつ(親指をしゃぶる・執着行動)、 大人との親密な関係をつくるのが困難になることが含まれる。

誘拐された子どものトラウマのひどさは、子どもの日常が損なわれた度合い、何が起きているかをどれくらい認識しているか、 親間の葛藤の度合いと関係する。先の2つの因子は子どもの年齢と関連する;より年齢がたかいほど、よりトラウマになりやすい。 (訳注) 男の子のほうがより適応が悪くなることも知られている。

残された親

子どもを誘拐された親もトラウマを受ける(Chiancone, 2001)。彼らの多くはよく眠れず、喪失感と激怒を経験する。 約半数は食欲をなくし、不安、深刻な孤独を感じる。こうした状態は、子どもが帰ってからもより強くなることがある。 子どもとの再統合はストレスフルである。また親は再び誘拐されることを恐れる。

残された親は経済的な痛手も負う、子どもを取り戻すコストが高いからだ。15年前は子どもを探すのにかかる平均的な費用は 国内なら8千ドル、国外なら27千ドルだった。現在はもっとかかるだろう。あらゆる所得階層で、親は最低でも彼らの年収分の費用を支払わねばならない(Chiancone, 2001)。

2014年10月29日水曜日

引用されてた、調査官のためのマニュアル2冊がPASをどう扱っていたか

この論説のなかで、4章の最後のほうで、片親疎外への対処として、
米国では、ペアレンティング・コーディネーター等の介入による紛争管理のほか、心理教育的介入、親子再統合のためのカウンセリングやキャンプ、非監護親への監護権の変更等の様々な手段が執られうる。監護権の変更はガードナーが推奨した方法であるが、子どもへの負担が大きく、必ずしも子どもの最善の利益にかなうものではないことも指摘されている(93)。

そして、その93番めの文献として2冊、引用されていました。それが
Rohrbaugh, JB (2008)
Stahl, P (2010) です。
親権の調査官のマニュアル本です。

さて、ほんとにこんなことが書かれているのか?

RohrbaughはPASについて、あまり深く語るのを避けていました、まだ研究者間で議論があるということで。
しかし基本的には、(全てではないにせよ)あるケースでは監護親による病理的な洗脳があること、
そうした親にセラピーをする、子どもにセラピーをする、
そして関係を正常化するべくアプローチすることを述べています。
だから、これをここで引用するのは間違い。
ひとことも言ってないもんね。


Stahlは、まるまる一章を割いて、この問題について紹介したあとに、
ガードナーたちが子どもの引渡しを勧めていると紹介したあとで、
別の意見として、それに消極的な意見を紹介しています。両論併記ですね。そして、
「親権の移行によって、疎外されている親の利益にはなるだろうが、
それは必ずしも子どもの最善の利益になるとは限らない」と結んでいます。

それはその通りで、当たり前のことです。
ガードナーも、全てのケースで監護権を移すべきだと言ってたわけではありません。
ただ、ずっとPASの問題点を述べてきたあとで、
両論併記をするためにほんの一行付け加えられている文章を、
わざわざ拾い出してくるのは、いかがなもの?


それよりも、Stahlは、別のまるまる一章をつかって、
親による子どもの拉致・誘拐について警告しています。
それはおもに、論説で何回もとりあげていたJohonstonさんが書いたあの論文を下敷きにしている。
そっちにはまったく触れないのは、なぜだ。

面会交流が争点となる調停事件の実情及び審理の在り方について

使えるか使えないかは別としてね。

かなり不誠実な文章です。人柄のせいかどうかは存じませんが。


さてこれは、平成24年3月29日に、
最高裁判所事務総局家庭局第一課長から各家庭裁判所事務局長あてに、

論説「面会交流が争点となる調停事件の実情及び審理の在り方ー民法766条の改正を踏まえてー」
(家庭裁判月報第64巻第7号に掲載予定)の原稿の参考送付について

という書簡がでて、それでこの原稿が送付されています。

この論説は、現役の判事2名と調査官2名の共著によるもので、
民法の改正とともに、面会交流事件をどう扱うべきかを論じたものです。
当面、これをスタンダードにするべきってことなのだろうと思います。
ここに置いてあります)。

その4章が、心理学等の知見からみた面会交流の意義 なんですが、
まあたぶんここを調査官が書いてる。これがちょっと見ないほど酷い出来なので、
ちょっと細かく検証してみていきます。

なにが酷いって、引用するときに、文献に書いてないようなことを言う  
材料を集めるときに、ひどく偏った集め方をする

それぞれ、ストローマンおよびチェリーピッキングという、詭弁の技術なんですが、
それのオンパレードなんですよ。

前者は、引用された論文なり本なりをチェックすれば簡単にわかります。
この何回かは、それを考えつつです

2014年10月20日月曜日

ちなみに4%とは

さきほどの論文では、サンプルは70人だった。
4%という数字はたぶん、サンプル中の3人が、それらしかったということだろう。

もちろん正確な精神病の判定は、患者と向かい合わないとできない。
これは資料からみて、はっきり疑われる人数である。
また「重度のサイコパス」とわざわざ言っているけど、
最新のDSM5では、「繰り返す法律違反」はかならずしも要求されていない
(より狡猾なタイプがいるという認識)。
権威への反抗も。
私がいまやってるのも権威への抗議。
でも、だからといってサイコパスとは言わない。

というわけで、たぶんそれよりも割合は増えるかもしれない。
サンプルが70くらいだと、そのなかに3人の陽性がいたときには、
95%信頼域は0.009から0.12、つまり値の推定値としては、
まあ4%なんだけど巾があって、それは1から12%の間ということになる。

DSMでもだいたい4%ってことみたいだけど、離婚訴訟のまわりではもっと高いと言う。
(そしてDSMでも、いったいサンプルがいくつくらいなのかは明示されていない)

裁判所が庇う連れ去り親のなかに、こうした連中が何人もいるのだろう。

2014年10月18日土曜日

Johonston and Edwards 2002の、親による子どもの誘拐について

ちょっと面白い論文で、Johnstonさんは例の葛藤のスペシャリストなんだけど、
それが「親による子どもの誘拐 法の歴史、リスクの概要、防止するための仲介」ってのを
後に書いている。これが入手できた。

Parental kidnapping Legal history, profiles of risk, and preventing interventions
Child Adosese Psychiatric Clin N Am 11(2002)805-822

Johnstonさんはもともと、どちらかというと母親側の立場でものを書いていたようにおもう。
それがこれを書いたのは、父親が連れ去るケースがでてきたからかな(うがちすぎ?)
あるいは、葛藤親のなかで、なにかが明らかに違うって感じたからかもしれない。
それまでの葛藤の議論の際に、こうしたケースは念頭になかったのだろう。
だから日本の場合(やたら連れ去りが多い)は、なんていうか、彼女のなかでは
例外だったのかもしれない。

まあともかく、この論文でそこに向き合ったわけだ。
というか、向かい合わざるをえなくなったのだろう。だって、アメリカでその件数がすごく多いのだ。
それが違法になったのは1980年から(州によっては1969年から1983年)。
厳しくなったのが1992年くらいから。 でも、犯罪になったとしても検挙率が低いからかもしれない。
日本だって、いきなり逮捕できないと、かなり強引な連れ去りでも検挙されないからなあ。

まあともかく、これはもうはっきり問題であるとしている。
表題のリスクは、誘拐されるリスクという意味。
誘拐がこどもに与える影響のリスクって意味じゃない。

そりゃそうだ。

そこから一部だけ紹介。
誘拐親に共通する特徴
誘拐親は、他方の親の子どもにたいしての価値を否定したり無視したりしがちである。
この傾向は、長く親権の係争が続いている親たちよりも、誘拐親のほうがより強い。
誘拐親は誰よりも自分こそが、子どもの利益についてよく知っていると信じている。
誘拐親は、どうやって、またはなぜ、他方の親と親業を分担すべきなのかを考えようとしない。

誘拐親は、より小さい子を連れている(平均年齢は2-3歳である)。
こうした子どもは移送しやすいし、隠しやすい。言葉で抗議することができないし、
自分の名前や、特定するための情報を他人に伝えることができない。
親権の裁定に逆らって連れ去られているもっと大きい子は、
特に影響にたいして弱い子であるか、
誘拐親と共犯関係にある。

ほとんどの誘拐親(パラノイアである特徴がみられる場合を除く)は
社会的なネットワークによるサポートを受けている。家族、友人、社会的なコミュニティ、
カルト的なグループ、反社会的な地下組織。このサポートは実務的なサポート(金、食料、宿)
にかぎらず、誘拐という超法規的な行動を正当づける動機やモラルのサポートにもおよぶ。
この支援者たちは、司法の介入があった後でも、その行為が違法ないしモラルに反することだとは考えない。

父も母も誘拐親になり得る、頻度は異なるが。父親は親権が決定する前に、母親は親権が決定してから連れ去る。


日本の状況に近いところも遠いところもありそうながら。
他方の親の無視と、サポートがあるってのは日本でもそうだろうな。
日本の場合は司法が強力にサポートしてる。

ちなみに特に影響にたいして弱い子のケースを二人組精神病という。PAの症状のひとつですね。
子どもが特に弱いんじゃなくて、そういう親がひどいんだと、私は思う。


このあとにプロファイルを6種類くらいのせてる。

そのうちのひとつが、誘拐親が妄想性パラノイド障害の場合。
これはサンプルの4%以下しかないというが、そのくらいはあるみたい。
日本のでこじれてる場合、けっこう当てはまりそう。
子どもの連れ去りの危険が高いという。 
  連れ去りの危険っていうくらいだから、連れ去りがやばいものだという認識はあるわけだ。
この親は子どもをじぶんと別人格のものだという認識がないのに注意と。
子殺しや心中の可能性も指摘している。

もうひとつは、誘拐親が深刻な反社会性障害である場合。
こうした親たちも、子どもが自分の権利を持っていることを認めない。
子どもたちを、かつてのパートナーとの戦いのトロフィーであるかのように考えている。
復習の手段にも使う。
これもサンプルの4%くらい存在した。

ちなみにサンプルは50家族から70人の親(父母が半々)、1987-90年のカリフォルニアである。


なんにせよ、2002年になって、Johnstonさんは誘拐を認識し、
それが酷い行為であると表明するようになった。
それは単なる高葛藤とはわけがちがうことを、ここで認識したことになる。

プロファイル1 予告または実際の誘拐があった場合
 誘拐を疑う証拠がある場合、ないし誘拐の前歴がある場合には、リスクは高い。そのほかのリスクファクターは
・親が失業している、ホームレスである、地域との情緒的・経済的な絆がない
・誘拐を匂わす発言、協力者の存在
・預金を引き出す、金を借りる

プロファイル2 誘拐親が、児童虐待があったことを確信していて、社会的なサポートがある場合

プロファイル3 片親が妄想性パラノイド障害の場合
このプロファイルでは、片親がはなはだしいパラノイドを示し、配偶者に道理のない信じこみや行動をし、あるいは配偶者に病的な妄想を抱く。
配偶者が自分自身や子どもを傷つけるか、その計画をもっていると訴える。
この思い込みや行動には、外部からの援助を必用としない;彼ら自身や子どもを守るために必用な行動をしているという確信を自らがもっている。

この診断はどちらかというと少ない(この調査の4%以下である)が、これに該当する親は通常もっとも危険で恐ろしい誘拐者になる、
とくにかつてDVの前科があったり、精神病歴があったり、児童虐待の前歴がある場合は。
通常かれらは離婚によって打ちのめされていて、相手方からひどい扱いをうけたり搾取されたと信じこんでいる。
復縁を望んでいたり、逆に復讐を夢想していることもある。

病的な親は、子どもを一個の人間だとは認識していないことに注意せねばならない。
むしろ、自分と融合した被害者として扱う(このとき、一方的な判断で子どもを救おうとする)か、
憎むべき相手方の一部として見る(このとき、突然に遺棄したり殺したりする)。
離婚や親権の確定は、これら病的な親が急に行動をおこすきっかけになる、
その結果はただ誘拐であるだけでなく、殺人や心中にいたることもある。

裁判所は、こうした親の深刻な妄想から子どもを守るためのメカニズムと方法とを持たねばならない。

プロファイル4 誘拐親が深刻な反社会性障害である場合
反社会性障害の親は、あらゆる権威――司法システムも含む――を軽蔑してきた経歴と、法律をやぶることに特徴がある。
彼らの他者への関係はいつも利己的・搾取的であり、相手を操ろうとする。
彼らは、自身がより優れていて、そう考えるべき資格をもっているという大げさな信念をもっていて、
他者をコントロールする一方的な欲求をもっている。
妄想性パラノイド障害の場合と同じく、反社会性障害の親も子どもを、自分とはことなる願いや権利をもった人間だとは考えない。
その結果、彼らはしばしば子どもを、明らかに復習の手段、罰、ないし配偶者からの戦利品として扱う。
彼らは誘拐やDVを刑罰の一種であると考える。
パラノイド障害の場合と同じく、重い反社会性障害は稀で、この調査の4%が該当した。

重度の反社会性障害の場合は、匿名での治療的な介入や家族カウンセリングは効果がなく、多くそれは危険を招く。
カウンセラーの介入の余地がなく、カウンセラーをもコントロールしようとするからだ。

プロファイル5 異文化間の結婚の場合

プロファイル6 親たちが司法によって不当に人権を損なわれていると考え、家族ないし社会からの支援をうけている場合

2014年10月17日金曜日

ゴールドスティンらのトリロジーの本

和訳した本を借りられたので、ぱらぱら読んでみました。
子の福祉を越えて、3部作の最初のやつです。

思った通り(ネットでまとめられていたとおり)これはそもそも、
養父母と子どもたちの話です。

里親という、ただ預けるだけのシステムがあって(まだあるのかは不明)、
そのひとたちは親として接してはいけなかったらしい。
それが子どもに悪い影響をあたえると。
とくに、里親を転々としているのが良くないと。
どこか一箇所で、より濃密な関係をつくらせろと。そういう主張。


そりゃそうだろう。


それは、かれらの経験からそう言ってる。そしてそれは、じつに尤もである。
ただそれを彼らは、離婚した家でもそうしないと、統一的にならないという。
何の根拠もないけど、そうするべきだと言う。

それは、言い過ぎ。っていうか、根拠がでてきたら、すみやかに消え去るべきもの。
速やかに消え去った結果、もうネットには限られた情報しかのこってない。
ほんとに一時期のアメリカの裁判所でこれが採用されていたのか、
恥ずかしいと思っているのか、ともかくもうぜんぜん残ってない。

それは、良いことだろう。もう役目を終えた説でした。

1994 Amato 非監護親とと子どもの接触、両親間の葛藤、そして子どもの行動

これはAmatoさん本人におくっていただいたコピーなんだけど、
なんとコメントしてよいやらと。

Amatoさん、統計はほんとに素人なんだな。


ぜんたいとしては、非監護親との接触はよいことなんだけど、
両親間の葛藤が大きいとそれは逆効果になるというのが、いろんなところで引用される。

っていうか、そこだけが新しい概念なので。


統計学的なところでつっこませてもらうと、
・サンプルに問題がある
・検定のやりかたに問題がある
・多変量解析が失敗している
ってことになるだろう。


まずサンプリングだけど、最初から偏りがある。
共同親権で、共同監護であるカップルにはある割合で、
彼らの研究では、母親と父親がそれぞれ単独親権を求めて争ったケースの約3分の1に、共同親権が授与された。さらに、保護者の間の葛藤がより高いほど、より共同親権が付与される可能性が高かった。離婚後に三年半が経過した時点で、これらのカップルは、最初から共同親権を望んでいたどのカップルよりも、より多くの葛藤をもち、子育てではより非協力的だった。
こういう異物が混じっている。
これを排除しておかないと、共同監護がどう影響するのかを調査することができない。
(それをしていない)。

Amatoさんらは、高葛藤で共同親権のグループというのを後からつくった。
そのおこりがどういう人たちだったのかはわからないけど、
おそらくそこには異物に相当するものが、かなり含まれているものとおもわれる。

それらの人たちの子どものスコアが悪いのは当然ではないか。
この人達は、どんな監護の形をとってもダメだった可能性がある。


検定のやりかただけど、なにか違いのある条件を探して、いろんな組み合わせを試して検定をしている。
しかも、P値を7%とか、より緩くとってみたりして、いろんなことを試している。
その結果、検定に著しい多重性が生じている。
それを補正すると、ひとつも有意差がでない。
っていうかそもそも、あたりがどっかにないかなって日和見をするのがそもそも、検定ではアウト。


監護親の人種とか、父か母かってことで、ゼロイチの数字を振っている
(まあそれは標準化するから、ある小数になるけど、基本的に2値である)。
また、問題行動を示すスコアもゼロから7まで。なぜか対数をとっている
(たぶん一部の問題ある子どもだけがきわめて高得点になっている)。
これに、正規分布仮定をする線形モデルで、重回帰分析をしている。
無理無理。それは無理だって。やるとしたらカイ二乗検定とか、不連続な数値に対応する、
違うモデルを使うべき。
データとは異なる仮定をするモデルを使うのは、間違いのもとである。

実際、得られた式の相関係数Rは0.3以下で、これはほとんど回帰できてない、
使い物にならない式であることは明らか。
ふつうは1に近いところが見つかるまで、条件を探すものだけど、そういう努力を払ってない。
0.3とかで論文かくか普通? っていうか、載せるかふつう?


データを9つにグループわけして、それぞれで効果を見た図が載せられていて、たしかに
高葛藤のときに高い接触があるとダメみたいなんだけど、
そのデータにばらつきをしめす表示がついていない。
だから、どの程度に信頼できるか判断できない。

という全体をみるに、それは正しいかもしれないけど、正しくないかもしれないとしか言い様がない。
エビデンスとして採用できるものはない。
まして、その原因を想像してみたところで、その観察が正しいのかどうかわかんないので、
それはちょっとナンセンスじゃないかな。

2014年10月6日月曜日

次の論文。。。

いろいろ前後してるんですが、出すものを出し、審査されたりつっかえされたり、
なかなか返事がないからつっついたり。

でも次を用意。
これをアメリカの、家裁を扱う論文に。国連にも。
ただその場合、日本の事情を説明しなきゃなんない。

それが前回の法律についてと前々回の裁判所についての内容。もうちょっと洗練させよう。

なんかアメリカはアメリカでいろいろ特殊で、ほんと裁判おおいし、
判事もてんてこまいみたいですけどね。

あとやっぱ、異常に有罪になる率が高いとか、
自白に依存しすぎとか、
日本の裁判所がもってる「事実の軽視」の体質について、うまくふれておきたい。

日本の法律について

子どもの親権と監護権


日本では、夫婦は共同親権をもつ。
しかし離婚後には単独親権になり、共同親権は認められていない。
別居中の夫婦の場合、共同親権であるので、
実際に子どものケアをするための監護権という、より限定的な概念が使用される。
監護権は親権の一部である。

民法と家事事件手続法


親権・監護権や離婚については民法に定められている。
離婚後の親権や監護権の紛争は民法にしたがって、
家裁で調停によって解決を図ることになる。

子どもの福祉に反する親にたいして、親権を剥奪したり、
一次的に停止したりすることが規定されている。
実際には地裁でこれらの条文が使用されることはほとんどないとされる。

片親による子どもの拉致


これを明確に違法とする法律はない。
刑法にはそうした規定がない。

人身保護法


かつては拉致された子どもを取り返す際に、これが使われた。
いくつかの最高裁判決が家裁による審判を勧めたために、あまり用いられなくなっている。

最高裁判断


子どもの拉致にかんする事件で最高裁判断がでたのは、ほとんどが人身保護法である。
人身保護法が、どちらかというと危急にたいしての避難をそうていした法律であるために、
親どうしを比べるにあたっては、よほど大きな違いがないかぎり、
現状を優先するとした。

またこの法律は、拉致そのものの違法性は問わないとした。

また、こうした問題にたいしては、家裁が審判をもって望むべきだとした。

DV防止法


子の拉致にあたって、虚偽DVを訴えるケースが多発している。
実際にはそれらDVは、家裁では調べられない。
立件もされないことがほとんどである。
虚偽の訴えにたいしてのペナルティは、ごくわずかの罰金刑にすぎない。

捜査の不透明性


家裁は調査官をもっており、多くの事件では調査が命じられる。
この内容は公開されず、第三者のチェックをうけない。
そのため、かなり酷い内容のものが多いようだ。


離婚について


基本的には当事者たちの届け出できまる。
その際には、子どもの親権をどちらがとるかを届け出る。

ここでそれぞれの意見があわないときに家裁へと調停を求めることができる。
家裁には、夫婦関係を調停する役割もある。

日本の裁判所について

裁判所の階層 hierarchy

多くの国と同じく、日本も三権分立のシステムである。裁判は三審制をとっている。
http://www.courts.go.jp/english/judicial_sys/overview_of/overview/index.html#01
裁判所は最高裁と5つの高裁、50の地裁と家裁、そして438の簡易裁判所がある。
それぞれの裁判所には独自性が保証されている。
The respective courts have their own jurisdictions as provided for in law.
2002年の時点で判事の定員は1415名、判事補が805名、簡裁判事が806名であるが、
微増しつづけている。
人口10万人あたりの裁判官の数は3人弱で、米国の1/3程度になる。
比較的に少額の民事行政の裁判や、微罪の刑事事件は、簡易裁判所で扱う。
これはそれぞれ、すべてのケースの60%および75%程度である。

少年事件と家事事件は家庭裁判所で扱う。
家庭問題を法律で扱うことにたいして慎重であるため、
当事者間の話し合いを推奨し、基本的には新受は調停で取り扱われる。
これは裁判所でおこなわれるAlternative Dispute Resolution と考えることができる。
調停が不調であるときには、判事による審判を申立てることができる。

大都市であれば、それぞれのケースは専任の判事が扱う。
しかし多くの家裁と地裁では、判事への事件の割り振りはよりフレキシブルである。

弁護士の数

第二次世界大戦後、ずっと指数関数的に増加している。特に女性弁護士の増加は著しい。
ことに、2006年の司法改革いらい、その増加には拍車がかかっている。
ところが判事の数はそれほど増加していないために、判事あたりの弁護士の数が急上昇している。


件数

この10年でかなり大きな変動があり、変動はまだ続いている。
これは簡易裁判所を除いた値である。

全体としては減少傾向にある。
これは刑事事件が減ったこと、そして民事事件が著しく減少したことによる。
民事事件の減少は、破産の減少が大きく寄与している。
これは2006年に破産法が改正されたことに起因すると考えられる。

一方、家事事件は急速に増加している。

こうした急激な増減は、たとえば米国では見られない現象である。

判事あたり事件数

高裁と地裁、家裁の判事と判事補あたりの事件数の推移はこのようになっている。

2006年をピークにして半減している。
ちなみに米国における同じ数値は、だいたい年間に3千件くらいで一定である。

2014年9月3日水曜日

主な変更点

変更点


1. 平成25年のデータを追加 
 それまでの項目名がかわったので(家事審判法から家事手続法に変更)対応 

2. 項目の7番目を追加  国連女性の年で伸びが鈍化したことを、
 性差に基づく判断ができなくなったせいだと考えていたのだけど、
 弁護士になりたがる女性の割合が減ったからだと考えるほうがたぶんシンプル。

 因果関係はわからないながら、乙4審判数は女性弁護士数とだいたい一致して推移している。
 ならそれに従って説明すべきだと考えている。

気づいたところ


3. 子の引渡し・監護者指定の審判数が頭を打ったかも。
 もう何年か経過観察の必要あり。

2014年8月19日火曜日

司法統計:とりあえず関連する変更点

家事審判手続法から、家事事件手続法にかわった。  怒るな。気持ちはわかる。

これが、これにかわった。

怒るな。 気持ちはよくわかる。


ふるいほう。
家事審判手続法 乙4はこう
民法第七百六十六条第二項又は第三項(これらの規定を同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分

家事審判手続法 乙7はこう
民法第八百十九条第五項又は第六項(これらの規定を同法第七百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による親権者の指定又は変更

新しいほう。
家事事件手続法 別表2の三はこう
子の監護に関する処分 民法第七百六十六条第二項及び第三項(これらの規定を同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)

家事事件手続法 別表2の八はこう
親権者の指定又は変更 民法第八百十九条第五項及び第六項(これらの規定を同法第七百四十九条において準用する場合を含む。)

看板かえただけで、まるっきし同じように思われる。
民法が変わってないからな。

理研みたいに、メディアに投げた情報をHPにも出せばいいのになあ。

平成25年 2013年の司法統計がでていた

増加問題を毎日新聞が紹介した記事で気づいたんだけど、やっと2013年分の集計がでた。
この記事じたいは、たぶん最高裁が出した内容をただ紹介しただけで、
なんら掘り下げていない。
たぶんお盆前に投げ込みがあったんだろう。
別のマスコミはくいついてきていない。
あるいは、もうちょっと揉んでいるんだろう。

もしかして、メディアって、構造的に疲弊してるのかも。
いっぺん潰れてしまえ、とも思うけど、
復活できそうな気がしない。

ちょっとカテゴリーの名前(の標記)とかが変わってる。
どんな変化があったのかはこれからみつけたら。

数字としては、調停数の変化は予想通り。
審判数、子の引渡しは、頭打ちしてるかもしれない。裁判所の物理的限界?
要観察かな?

2014年8月12日火曜日

昭和61(オ)644 子の引渡 の最高裁判例について

たいへん遺憾ながら、この判例が最高裁の判例集から落とされました。
あったんですよ? グーグルでの検索結果がのこってる。


あの表では別の所へ飛ばすことにしました。
事実がなくなるわけじゃない、ネットのどっかから消えただけだ。

ここで全文がよめます。最高裁の判決文って短い。
全部だしたって、知れてるだろうにね。

とかおもってたら復活してた。
また戻しておきます。
なんだったんだろ。

2014年8月8日金曜日

乙7について追加情報

親権については、平成10年(もしかして11年?)まではわりと司法統計が詳しく
調べてるんだけど、12年から調べ方がかわっちゃって、ちょっと簡素になってる。
以下は平成8-10年のデータだけど、乙7の総数はあんまり変動がないので、
中身がいきなりかわることはないだろうと思われる。

乙7は親権の指定と変更と両方がある。指定は離婚前、変更は離婚後。
なんとなく、離婚後に使うものだと思ってたんだけど、

実際、平成10年まではそれを区別して調べることができる。
これによると離婚前に申立てるのは5%もない。
やっぱりほとんどは離婚後だと思っていい。

当然、こじれた場合にだけ申し立てられるのだけど、そのときの離婚前申立人の勝率は、
離婚後申立人の勝率と変わらない。
6割もある。
なら子どもの引渡し等々は、離婚の際にやったほうがいいことになる。


で、引渡しや監護者の指定なんだけど、これらも離婚後のケースがある。
離婚後に親権はもっていて子どもがいないって状態?

それらの区別がつくほどには情報はでてないです。
キュレーターがいるはずだけど、なかみを出させてもらえないのかなあ。



ところで、ここで言っても仕方がないんだけど、司法統計はPDFで、
字がへんで、テキストにならない。
二次使用を嫌っているとしか思えない。
ふつう公的な統計の数値はテキスト、csvで出てくるものだとおもう。
後ろ暗いから、つつかれたくないんだろ、とか思っちゃうね。

2014年8月6日水曜日

ひとつ修正

面会交流。乙4は、離婚後のことだけれど、
離婚後に話し合ってもいいはず。

だからとくに面会交流のいくらかと子の引渡しは、
たぶん離婚後、親権がない状態が含まれているのではなかろうか。

あと乙7は、離婚前にも、もめたら出せる。
平成10年まではこのへんの状況がわかるデータがあったのだけど、
いまは司法統計からはどっちがどのくらいなのかわからん。

2014年8月2日土曜日

監護親の指定だけをするケース

この図で、監護親の指定と、子の引き渡しの認容の率がけっこう違っていて、



そこには二通りの可能性がある。

ひとつは、監護親の指定を任用して引き渡しを却下するということ。
これもゼロではない、こういうのがちょっとは出ないと数が会わないから。
でもまあ、理屈は通りにくいかな。

もうひとつが、監護親の指定だけをしたときには認容されやすいということ。



却下がなければ、いい線まではいく
(本当は違いが埋まりきらないんだけど、まあ誤差かなとも)。
こっちのほうが、ありそう。

で、この監護親の指定だけをするのって、どんなケースかと。
引き渡しのシステムの存在を知らないっていうのがひとつ。

いま監護をしていれば申し立てる必要はさらにないはずなんだけど、
却下されるリスクを負って連れ去り側が出す可能性がないか?と考えた。

たぶんこのひとはいま面会交流の調停を出されている。
その対抗措置としてこれを出す可能性。理屈じゃなくて。
あるいは、取り下げたら取り下げる的な材料として。

ひとつ言えるのは、連れ去り返されたときの保険にはなる。指定されていれば。
あるいは、子どもが自分から動きそうなときにも。

2014年7月30日水曜日

結局、子の引渡し調停ってなんだ?

裁判所のHPのコピーライトは最高裁にある、らしい。
ならHPにあるのはお墨付き、だよね?

ここに、例の子の引渡し調停についての説明がある。
同じ内容のPDFファイルもある。

子の引渡しあるなしでなにが違うのかなとおもって、法的な根拠を調べていてわかったこと。
この引渡しって、特にそれを意識してつくられた法律がないみたい。
ずっと平成10年から、司法統計に載っているくらい、一般的なことがらなんだけど。
だから、ハーグのときに執行官がびびってたんだ。

民法第七百六十六条 にも条文はない。

3  家庭裁判所は、必要があると認めるときは、
前二項の規定による定めを変更し、
その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。

これだけ。

家事手続法ではこう。
第百五十七条  
家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。以下この条及び次条において同じ。)は、次に掲げる事項についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
一  夫婦間の協力扶助に関する処分
二  婚姻費用の分担に関する処分
三  子の監護に関する処分
四  財産の分与に関する処分
2  家庭裁判所は、前項第三号に掲げる事項について仮の地位を定める仮処分(子の監護に要する費用の分担に関する仮処分を除く。)を命ずる場合には、第百七条の規定により審判を受ける者となるべき者の陳述を聴くほか、子(十五歳以上のものに限る。)の陳述を聴かなければならない。ただし、子の陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
要は、保全処分という扱い。

ちなみに、保全命令がでたときのことだけど、
執行は基本的に、物件の差し押さえかなにかと同じことがらになっているので、
期間は2週間に限られている。


民事保全法第43条第2項 
保全執行は、債権者に対して保全命令が送達された日から二週間を経過したときは、これをしてはならない。

なんぞ、これは。自動車かなにかの扱いか。

そして、法律がないってことは、審判官のフリーハンドってことか。
命令って、なにを命令できるのかなあ。適当な処分ってなんだ?

いや、申し立てておいてなんなんだけど、このカオスな状況を知らなかったよ。
だって裁判所のHPにでてるんだもんよ。

2014年7月29日火曜日

もうひとつの終局


その他というのがあります。けっこうバカにならない数がある。

たぶんこれは、なんらかの合意が形成できた場合ってことなんだと思われます。

これと取下げを足すとこんなことに。



審判といいつつ、半分以上は、裁判官を交えた調停であることが伺える。
まあそれそのものは良い。むしろ、望ましいかもしれない。
問題は、この「その他」の伸びが、認容をもっぱら食って大きくなってること。

認容のかわりに合意に持っていってる。

それは公正でないな。落としどころが最初から露骨だ、感心しませんね。

2014年7月28日月曜日

引き離し親と引き離され親の星取表



前回ので、認容と却下とを比べてみました。
右に行けば認容が勝ち、左なら却下が勝ち。

子の引渡しは、この何年か認容が負け越してるけど、まあいい勝負。

監護者指定はこれとはちょっと違うところにある。
認容が勝ち越しているから、右にきている。

引渡しの認容率はこの3年で18%、監護者指定は25%。明らかに違う。
これ、検定するまでもなく違うけど、まあしいて計算するとP値は2.2e-16以下になる。

私は子の引渡しと監護者の指定は、同じものだとおもってました。
裁判所のホームページに、子の引渡し調停
という説明があって、

なお,この手続は,離婚前であっても,両親が別居中で子どもの引渡しについての話合いがまとまらない場合や話し合いができない場合に,利用することができます。ただし,この場合は,原則として,子の監護者の指定の申立てもする必要があります。

とあります。たとえば私は、これを見て、同時に申し立てました。
だから、これはほぼ一対のものだと思ってた。

この認識はちょっとだけ間違ってた。
いや、だいたい桁は同じなんですよ。でも違う。
監護者の指定だけを申し出たところがある。たぶんそこの勝率が違ってる。
極端に違ってる。そうでなければこの差がつかない。

実際には、監護者の指定のほうが2割くらい多いんです。
そこの認容率が5割くらいあると、子の引渡しと監護者の指定の認容率の違いが説明できる。
引渡しがなければ、勝率が2倍以上になるわけ。
どんな優秀な弁護士でも、ここまでは稼げないだろう。


どういうこと?
なにが違う? 命令が出るか出ないかってこと?

面会交流とひきかえに引き渡しを取り下げさせている?

前々回、審判がどうおわるか、
連れ去り側が有利という結果を、裁判所で乙4の認容の割合でみてみました。

逆に却下になるのがどのくらいかというと、これ。



いまだに15%くらい、面会交流さえ却下するのが信じられない。
折れないで最高裁まで持っていってほしい。

それはともかく、すごく却下がおおいってわけでもない。

いちおう、比較のために再掲。こちらが認容。


乙4の事件で、特徴的なのは、じつはこれかもしれない。
これは取下げ。
すごく取り下げが多い。



この3つの審判は、たぶんセットになっている。
面会交流の調停がダメで、なら引き渡しをとかんがえる。

面会交流をなんとかするから、あとは諦めろという方向に誘導されるのかもしれないし、
目的が達成されたからよしとするのかもしれない。
判決書かかなくていいしなあ。
あんまりうそ臭い却下を書きたくないからかもしれない。

面会交流の取下げが下がっているからねえ。
審判中に、申立人の心を折にくるのかもしれないね。

司法取引的なことが起きているのか?

2014年7月26日土曜日

乙7事件の特徴

前回のでふれた乙7とは。

離婚後に、親権の変更を願い出るケース。
たぶんだけど、離婚のときは、とにかくっていうんで親権を渡したけど、やっぱり
取り返したいってな場合かなと。わりと離婚後の半年くらいまでに起こされることがおおい。
まあそれからもあるんだけど。

民法の、

(離婚又は認知の場合の親権者)
第八百十九条  
1  父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2  裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3  子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4  父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5  第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6  子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。

この6に該当する場合が乙7である。

ちなみに乙4はこう。
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第七百六十六条  
1  父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2  前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3  家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4  前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。


家事審判法
第二章 審判

第九条
 家庭裁判所は、次に掲げる事項について審判を行う。

乙類
四 民法第七百六十六条第二項又は第三項(これらの規定を同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分

七 民法第八百十九条第五項又は第六項(これらの規定を同法第七百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による親権者の指定又は変更

ちょっとわかんないのが、この乙7で、親権の引渡しに争いがないケースがけっこうあって、っていうか、
そっちのほうが多いのだった。なんだそりゃ? これ最近の司法統計では出てこない条項なんだけど、
平成10年はまだこれが出てる。
争いがないのに調停?

じつは、子の親権を変更するのには裁判所の手続きが必要なんです。
だから、お互いがかなり納得してから出すようなケースがけっこう多いものとおもわれます。

逆に、こじれればこじれるわけ。
それが審判にいきますが、その場合、認容がとても多いという事実。

2014年7月25日金曜日

審判の杜撰さ

前回の草稿、もっとつっこんで長い論文にして書いてくれってことだったので、
ご期待にこたえられるか、ばっちりのバージョンを作成中。

じつは、短報を弁護士さんの業界紙に、フルサイズのを法律関連の雑誌に
投稿するつもりだったのだけど、まあ最初から出し惜しみはしないでいこうと
方向転換。

司法統計から、見落としていた結論部分。


これは、どのくらいの割合で、審判が訴えを認めるかという割合。
子どもの引渡しなら、引き渡せというのがこの数字。

ゼロじゃないんですよ。だから、連れ去れば必ず勝てるわけではない。
にしても、これはないんじゃないか。

2004年くらいから、面会交流が認められるように、だんだんなってきている。
それにしたって4割に届かないんだけどね。

それにともなって、引渡しの割合が減っている。たとえば、引渡しがもっとも多かった
2006年と、もっとも新しいデータである2012年を比べた時、カイ二乗検定をすると
P値は0.0005569 で、めちゃめちゃ有意である。

要は、引渡しは面倒だし、責任とりたくないし、面会交流でいいじゃんという考え。

そもそも、なんで審判になっているかを考えるべき。面会交流を拒否し続けていたから審判。
調停委員のいうことを聞かなかったから、調停が不調になったから審判。
片親と子どもの関係を切断するのは虐待。それを司法がスルーするのはおかしい。
虐待があったから引渡しの審判をしているのだという認識がない。


乙7ではもっと引渡し側の結論になっている。
ちゃんと調べるとこうなるってことだろう。
子どもに被害が出るまで待ってから出てくる司法。

2014年7月5日土曜日

子どもより大人のほうが成績がわるい

これがフィッティングででてきたパラメータ。
論文ではいくつかの調査をわけて集計していた。
そのうち、数がおおかったものを2つずつフィットしてみた。
まあ、集計がちがっても、だいたい一緒の数値になってる。

みていただきたいのはmeanって数値。これがその平均というか、
群のまんなかの子の数値になる。

成績がわるいマイナーの子でも、マシなメジャーの子でも、
子どもより大人のほうが得点がひくい。

ちなみにこれらに10をかけて50を足したのが偏差値。

大人になるとマイナスが大きいことが明らか。

これ、経時的にみたのではなく、ある時代のスナップショットだから、
もしかしたら時代が5-10年くらい進んで改善されつつあるのかもしれない。

――そんなことあるわけないだろ?

だとすれば、これは悪化していくとしか考えられない。

離婚のダメージから立ち直れないで悪くなっていくのか、
離婚家庭でダメージを受け続けて蓄積していくのか、

たぶん両方なんだろう。


child adult
without with without mixed
major ratio 0.60 0.60 0.58 0.58
mean -0.57 -0.62 -1.33 -1.10
sd 1.00 1.00 1.00 1.00
minor ratio 0.35 0.35 0.36 0.37
mean -1.58 -1.79 -3.02 -2.43
sd 1.12 1.06 1.54 1.12
bad ratio 0.03 0.03 0.06 0.05
mean -6.28 -5.85 -8.22 -5.92
sd 1.28 1.13 1.14 1.18


ちなみに、それぞれのやつを二親家庭のそれと比べると、こんなかんじになる。



黒いラインが二親家庭のスコア(の推定値)。
それが離婚家庭の子ども(緑)ではこのようなふたつの集団にわかれる。
左側がマイナー。たぶんこっちは、片親と断絶しているような、はっきりした特徴がある。

それが大人になると、青で書いたようになる。
マイナーとメジャーの割合はそのまま。
ただ、得点が低くなってる。

2014年7月3日木曜日

もう一回反論をこころみる

ぜんぶ間違ってたんじゃ?


標準化に失敗している以上、寄せ集めたデータはクズ。
いやこれがいちばんラクな態度ではある。そこから考えないで済む。


もし個々の標準化が失敗していたとして、考えられる理由は、標準偏差の算出の失敗。
まさか、コントロールとの差を引くところでまちがえるほど馬鹿じゃないだろう。

その場合、いろんな調査結果が、まちまちな標準偏差をもってでてくることになる。
ならば、異なる調査結果を合算したデータは、おそらく異なる分布をもつことになる。

。。。ならないんだなこれが。フィッティングしてみたときに、結局おなじくらいの
パラメータになることは気付いていた。

でも、もっとダイレクトに分布形式を調べる方法がある。それがQQplotというもので、
要は、上から何%のデータ同士をくらべるものだ。



これは、大人のデータで、
離婚前の家族の性質を考慮してある調査(with control)
とそうでない調査(without control)のデータの分布を比較したもの。
要は、調査そのものがちがってるわけ。

なのに、こんなにまっすぐ。まあちょっとした乱れはあるものの。

ちなみに、その片方を正規分布の理論値にしたものがnormal probability plotである。
あれ曲がってたでしょ。





たぶん、標準偏差を、ぜんぶの過程で算出を間違ってたか、
最後に出すときにへんなものを掛けたか、したのではなかろうか。
間違い方がわりと一定である印象を与える。

2014年7月2日水曜日

前回のに反論してみる

ともかくも、ほんとに状況がひどい。そのくらいひどかったら、現場の人は気づかないか?
特に、あのマイナーグループ。4割の二級市民。

特定の測定に関してだけスケーリングを誤った可能性

最初にQQプロットをした段階で、


ああ、傾きがおかしいってことはわかる。ここは傾き1でなけりゃいけない場面。

もともとのデータはすべて論文から拾っている。
まさに拾っていて、ない数値は推定している。
そのどこかで、特定のデータだけ、ぜんぜん間違っていた可能性はないだろうか。
SDの異なるデータをミックスした結果があれなのでは?
たとえば、特定の測定だけ、SDを間違っていたとか。

たとえば4割のデータだけ間違ってなくて、6割がまちがっていたとする。
データを最後に割り忘れるわけだから、位置パラメータが、スケールパラメータと同時にずれる。

chanto <- rnorm(40*2, sd=1, mean=-1.3)
matigai <- rnorm(60*2, sd=1*0.2, mean=-1.3*0.2)
data <- c(chanto, matigai)
qqnorm(data)
abline(0,1)


だめ、似てない。これだと、全てがy=xのラインの下になってしまう。
特定の測定だけスケールし忘れたと考えても説明はつかない。

ふたつの、中心の異なるグループが必要なのだ。

SDを小さく見積もりすぎている可能性

ざっと、もとの論文にでてたSDは0.16とか。しかも正規分布は2つあったから、
それぞれの構成要素は0.12とかそんなもの。

これが小さすぎる推定ではないか?

そりゃないだろう。むしろ、ほんとうはこれもっとシャープだったかもしれない。

本来的には、もし対照区のデータが明らかにされていて、それが単一の山だったら、
それのSDをつかってた。
これは、離婚っていう影響を受けたメジャーグループから推定したSDである。
たぶん彼らは、特定の質問にだけ、コントロールとは違う答えをしている。
もしそうなら、SDはあまりコントロールと変わらないはず、というのが推定。
実際には、そんなことはないだろう。もちっと複雑なはず。
そのぶん、SDは大きくなってるはず。
だからその推定が小さすぎるってことは、たぶん、ない。

もうぜんぶ間違っていた可能性

うーん、、、、
いったいどのデータをつかったのかがわかんないんだ。
こんなの科学的な分野では有り得ねえーーー。

あれか? 文系だからか?
なんで四半世紀ちかく、これ信じられてきたんだ? 

ウォラースタイン博士がのこしたマーガレット・ミードの言葉、
再録します。ミードさんはこういってた。

「ジュディ、人々が共同体からの大きな圧力を受けずに
結婚生活を続けている社会は世界中のどこにもないのよ。
あなたがこれからどんな発見をするか、だれにも予測できないと思うわ」
"Judy, there is no society in the world where people have stayed married
without enormous community pressure to do so.
And I don't think anybody can predict what you will find"

これ、どっちにも意味をとれる。
・社会からの圧力がなくなればみんな離婚するだろう
・そんな圧力のない社会はなかった
ウォラースタインさんは後者としてとっている。
そこには未知なるものへの不安ないし畏敬があったとおもわれる。
ウォラースタイン博士は、離婚の影響をとても大きく考えていた。
彼女は分析を駆使するというよりも、感覚的なタイプだったのではないかと思われる。
面接で、だからn数はあまりとれてなかったはず。

結局しかし、彼女の感覚のほうが正しかったということなのかなあ。。。。

じゃあ、何がおきてたんだ?

・ふたつの分布が混じっていたためのアーティファクト
であってくれれば話は簡単なんだけど、たぶんちがう。
足りない。もっと極端に違わないとダメ。

・ただただ、計算をまちがった
ありえそう。だけど90年っていえばMacだって普及してて、Classicがでたのがこのころ。
Excelくらい使える環境になかったかなあ。。。


あと、あんまり考えたくない可能性がひとつ。 ・

2014年7月1日火曜日

前回の解説

これなんですが、図をどう見たらいいのか、わかりにくかったみたいなので、解説を。


(クリックで拡大)

離婚家庭の子どもは6:4くらいにわかれて2つのグループを形成します。

ひとつは、(たぶん)離婚の影響を、わりとシンプルにうけているグループ。
6:4の6、メイングループ。

影響は、子どもよりも(その時点で同時に測定されたとかんがえられる)大人のほうが大きい。
このひとたちの散らばりを、両親がいる家庭で育った大人のちらばりと同等だろうと考えて、
両親がいる家庭(コントロールにしている)を推定したのが、赤で示した分布。

白で抜いているメイングループと、赤のコントロールとは、あまり重なってない。
もし、お互いが同じだけの大きさの集団をもつとすると、
それぞれ上位25%と下位25%だけが重なる。

これを都立高校の偏差値で説明すると、メイングループのまんなかの偏差値は37くらい。
ここで調べると、都立高校の下位の一番下が
偏差値39の中野工業と北豊島工業なので、都立高校はちょっと難しいということになる。
ちなみに50というのは本所 松原 葛飾総合 杉並総合 王子総合 なのだそう。
ごめん、書いている本人には実感がない。
甲子園にはでてこないっぽいかなあ?


6:4の4がサブグループ。たぶん複数のダメージを受けていて、それだけ複雑なので
ちらばりが大きくなっている。いくつダメージを受けたかで変わるからかもだろう。
この集団の平均が偏差値にして20くらい。底辺校といわれるところで30くらいはあるので、
これはもうちょっと高校どころじゃない。
もっともマシな状態でやっと、両親がいる家庭の平均に達するかどうか。
二級市民と書いたのはそのせい。

そして例外が少し。これは悲惨というほかない。

ここでは偏差値で例えたから、こういう例え方になってますが、
調査は学力ではなくてウェルビーイングを調べています。
社会への適応と、子の幸福。
だから、あるいみ、サブグループはまともな社会生活を送っていないし、
例外の数%は反社会的な害悪である可能性もある。
あるいは、廃人のような。

2014年6月27日金曜日

子育て・Amatoさんたちのデータの再解析、予後がめちゃめちゃ悪い

離婚の影響が酷いだけじゃなくて、時間とともに拡大すること


ここで指摘した問題を、もうちょっと厳密に確認してみました。
メタ分析のメタ分析だから、めためた。なんて洒落ている場合じゃなくて、ほんとにかなりひどい。

まず、今回いただいた子どものデータ。


フィッティングしたところ、あきらかに2つの正規分布から構成されている(白抜き)。
メインの右側の平均は-0.62で、全体の6割くらいを占め、偏差値としたら44くらい。
ちょっと(普通の家族の)平均よりおちるかなあといった程度で、このグループの真ん中の子を
ふつうの家庭の子のなかにいれると、下から27%くらいのところに来る。
100人いて50番目だった子が、70番くらいにまで落ちる印象
(うちの子がちょうどこんなかんじだ!)。

問題は、左側の集団。これのばらつきが大きいながら、平均は-2.4。
偏差値26。92番めまで落ちる。このグループの割合が4割くらい。

これ、親と断絶しちゃった子のグループなんじゃないか?



そしてこっちが、同じ時に分析された、大人のデータ(離婚家庭で育った大人)。



子どもと同じような形になっているのに注目。基本的には2つの集団なんだけど、マイナーなのがちょっとだけ。
メイン集団の割合はかわらず6割。だけどこれの偏差値は37。
この集団の真中のひとは、ふつうの家庭のなかにおくと100人中87番め。

率直にいって、二親家族とは、もう同じ集団とはみなせないくらいの差がついている。
育つまでになにがあったんだ?

また、第二集団の偏差値は20。その集団のまんなかの人を、
普通の家庭のひとのなかにおけば、1000人いて最下位です。
奴隷? 二級市民?

マイナーな人たちが6%ほどいて、このひとたちの偏差値は-36。
常習的な犯罪者かなにかだと思われる。

また、1.8%ほどの人が、とんでもなく良いスコアをとってる。吹っ切って努力した?
マザーテレサ化した?


ほんとかなこれ?
っていうか、これがホントだとしたら、離婚なんかするだろうか?
裁判所が離婚を許すだろうか?

もしかして米国が2度もジョージ・ブッシュを大統領にした原因は、これなのか?

次回で図の解説をしてます。

2014年6月26日木曜日

Amato先生たちの1991の2つの論文;間違い確定かと

以前に書いてたあれに関して、同じ著者が同じ年に、子どもに的を絞ってかいたものがあります。
Psychological Bulletin 1991, Vol. 110, No. 1,26-46
Parental Divorce and the Weil-Being of Children: A Meta-Analysis
Paul R. Amato and Bruce Keith

これを先生から送ってもらいました。もう質問にはぜんぜん答えてくれないんですが、
別刷りだけはいただけまして。

前回とおなじ手法。メタ分析をするにあたって、生データの提供はうけていない。
論文からなるべくリカバリーする。ふつう論文にはP値とn数が書かれているので、
そこから対照群とのちがいやSDを推定して使っているらしい。

で、この送っていただいた論文でも、やっぱり標準化が間違っていて、SDが極端に小さい。
要は、おんなじ間違いをしているらしい。

これがどう影響するかもおんなじ。観測していた違いを、ものすごく小さく評価している。

そして、うんと小さいうちから、離婚後の群がふたつにわかれることがわかった。
ぜんぜん適応できていない群と、それなりにダメージをうけている群にわかれる。

この結果をお返しして、まあしかし、発表しなきゃだな。Amatoさんたちのメタ分析、
いぜんとして引用されてるから。実際には離婚のダメージはずっとでかいぞと。

あと提言は、これかな。
たとえば分子生物学関連の論文だと、生データを公開するのが最近の主流。
とくにでかい、金のかかる測定は。そのためのデータサーバが用意されています。
私も分析の際には、そうしたデータを要求します。
社会学でも、こうした公的な調査結果は、
まあプライバシーの問題はおくとして、
その1次データは、後の研究のために公開しておくべきだな。

Amatoさんたちは、懸命に論文から読み取ろうとして、
どこかで計算を間違えたんじゃないかなあ。

2014年6月19日木曜日

裁判・平成5,6年の最高裁判決

いずれも、人身保護法という緊急避難的な法律を、
子どもの監護について適用するときには、
かなり明白な問題がなければダメで、
それ以外のときは審判で科学的におやりなさい、
というのが趣旨だったと思われる。

これを他の法律や、それこそ審判の指針にするのは、趣旨が違うので間違い。
「日本の裁判所が連れ去りに甘い」とする理由をここに求めるのも間違い。
これは、この法律が、その拘束が違法かどうかを問うものだから。
また、これらの判例をもとに、連れ去ってもいいんだとするのは、もっと間違い。

だから、これらのあとに連れ去りが増えたのは、ちょっと不思議ではある。
偶然の一致とは思いがたいので。
おそらく、関係者のみなさん、拡大解釈に走ったんだろうと思うけど。
それ、間違ってますよ。

これらの一件一件は、あんまり無理がない判決なんですよ。
ただ、子どもを(赤ん坊まで)法廷に立たせようとしてたこと以外は。

ひとつ要注意なのは。
平成6(オ)1437が、子どもを引き渡す方向で棄却・差し戻しをしているんだけど、
その理由。

どうみても、現監護者のほうが、安定した生活をしていて、お金もある。
しかし、現監護者には親権がない。だから違法な拘束だと判断した。
子の幸福ではなくて、監護の継続でもなくて、親権を優先したぞ。

親権がおちつくまでは子どもに会わせないというのは、ごくごくよく見かける法廷戦術である。
それにのって、離婚を承諾し、親権を渡してしまうと、
その先になにかおきたとき子どもをかくまっていると、違法な拘束だということになる。

2014年6月17日火曜日

裁判・平成5(オ)609が引用した最高裁大法廷の判決

この3件を引用している。
判例
昭和28(ク)55 人身保護法による釈放請求事件につきなした請求者の請求を棄却する旨の決定に対する抗告  
昭和29年04月26日 最高裁判所大法廷 決定 棄却 東京高等裁判所
全文
判例
昭和30(オ)81 人身保護請求  
昭和30年09月28日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 横浜地方裁判所
全文
判例
昭和32(オ)227 人身保護請求  
昭和33年05月28日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 東京地方裁判所
全文
最初の2つは、あきらかに戦後問題に関するもの。
最後のが、子どもの監護にかかわるやつ。

これは、「人身保護法」という、わりと緊急時のための法律を子どもの監護のときに用いる際に、
ちゃんと調べなくてもいいって法律なんだから、それなりに緊急時にだけ使うようにしましょうよ、
よっぽどのことがなきゃだめですよ、というニュアンスであるみたい。

子どもの監護なんだから拘束があるのはあたりまえ。
問題は、連れ去り時の違法性なんだけど、
それはそれでおくとして、
拘束の是非は、その連れ去りの手段の違法性とは別個に考えるべきだ、とした。

あまり本質的ではないんだけど、
この事件も、アメリカ国籍のある義理のお父さんが、
亡妻の連れ子だった子の引き渡しを求めていた事件で、
子を誘拐したのも元芸者であったり(っていうか記録されてたり)して、
おお、戦後だなあと。

よくぞ、こんなの掘り起こしてきたもんだよなあ。

2014年6月15日日曜日

裁判・面会交流事件数の急激な増加(目次)

目次


司法統計を調べて、面会交流事件が、尋常でない速度で増加していることを見つけました。
それがいつ始まったのか、今後どうなるのか、
原因はなにか、どうすれば抑制できるのかを考察しました。
正式に発表するときには、
削るべきところを削って、図もつかいまわして(絞って)いくわけですが、
暫定的にこんなかんじ。

司法統計・提案

乙4の対数増殖を止めて、地裁の能うところまで減少させるためには


これまでこうした抑制に成功した例は2つある。

ひとつは昭和61(オ)644の判決。
これが平成5(オ)609の判決と、何が違ったのか?
それは、過去の判例ではなくて、現実に則した判決であるということだ。
親が子どもを教えこむことで自由意志を奪うことができるのは、
とても単純な事実だし、それを疑う心理学者はいない。
ただそれを認めただけで、連れ去りを抑制できたのだから、これは見習うべきである。

これまで最高裁は、子どもの幸福について、それをどう評価するのかを具体的に示していない。
そのため、判断基準が、最高裁判決のなかでもまちまちになっている。
どう幸福(ウェルビーイング)を評価するべきなのか、
この問題については多くの発達心理学上の研究がなされていて、
かなりよくわかっている。
そうした知見を織り込んだ判決をすることは、たいへん有効だろう。
ひとつ具体的には、
「子どもと片親の関係を切断する行為は児童虐待である」
というのが、実務家たちの常識である。
これを織り込んだ裁定をして、この非人道的な行いへの非難を明確に示せば、
子どもを人質にする戦略をとる弁護士にたいしての牽制になり、
新たな連れ去り事件の発生を抑制できるだろう。

過去の過ちに拘泥せず、真実を重んずる姿勢が必要だ。
過ちを認めずにただ墨守していれば、人々の信頼を失う。
信頼されない裁判所が権力を行使するのは、反社会的な行為である。

もうひとつの成功例は、「養育費・婚姻費用の算定方式と算定表」である。
これは、客観的な評価方法をつくることによって、
だれが計算しても一定の金額を算出することを可能にした。
これによって公平性が保証され、不要な法廷闘争は未然に防止された。

面会交流については、子どもの幸福を測る客観的な方法を明確に示すことだ。

こうした方法は各国ですでに用いられている。「養育費・婚姻費用の算定方式と算定表」
の時と同じような委員会をつくり、同様にそれを普及させることは、
困難な作業ではないはずだ。おそらくこれがなされることで、子の引き渡しや
監護権者指定の事件も減ることだろう。
これらを通じて、乙4の事件数はかなり抑制できるのではないか。

司法統計・なにが問題なのか

対数増殖の問題点

一般論でいうと、対数増殖するものは、いつか系のリソースを食い尽くすことになる。
系そのものを拡大するか、リソースを代替できないと、その系が維持できなくなる。

菌なら死滅する。文明なら滅びる。樹木を切り尽くして滅びた文明はいくつもある。

離婚の場合、リソースの上限は破綻したカップルであろう。
この戦術をとる弁護士の数かもしれないが、この数そのものが急速に増えており、
また多くの新人は窮してもいるようなので、この戦術に手を染めるものが足りなくなることはないだろう。

結婚したカップルの5割(米国の白人)ないし7割(黒人)が破綻するといわれているが、
日本人の場合にどの程度の数値で落ち着くようになるのかはわからない。
この戦術がもっと一般化したときにどんな社会になるのか? 家庭はそのままか?
そもそも、その状態で、結婚というシステムが機能するのか?
これらが、かなり疑問だからだ。
家庭をつくるときに、結婚を選択するリスクが大きすぎるのだ。

平成5(オ)609は、 ただ過去の判例を掘り起こしてまとめただけのものだが、
それは結果として、結婚というシステムを陳腐化させてしまった。
日常的におきる対立を、話し合いではなくて、
子どもの連れ去りという実力行使で解決することを許容したからだ。
ならば、結婚という契約に、何の意味があるだろう?
この意味において、これはかなり画期的な判決だったともいえる。

このリソースを食いつくす前に、裁判所は機能不全に陥るだろう。
新受件数を捌ききれなくて、だんだん時間がかかるようになるはずだ。
こうした機能不全は、しかし、もう何年も続いているともいえる。
すでに、有効な話し合いが成立していないからだ。
誘拐を許容し、子どもの幸福についての判断を避けている現状は、
ただその連れ去りに許可を与えるだけの存在だといえる。
それは、健全な社会を維持するための役割を放棄した姿である。

地裁が機能不全になること自体は、さほどの問題ではないかもしれない。
しかし、結婚や子育ては、社会にとっては、次世代をつくる作業である。
それを司法が壊したのだとしたら、それは「失敗国家」だ。

司法統計・対数増殖の原因

増加しているのは、連れ去りを教唆する弁護士の数であろう



系から除かれないなにかが自己増殖するときに、この現象はおきる。
離婚のケースでは、当事者たちは離婚を卒業していくので、系から除かれていく。
では何が系に残っていくのだろう?

もっともシンプルな説明は、弁護士であろう。
毎年、弁護士はすこしずつ入れ替わっていくが、仕事のやりかたは伝わっていく。
現在、弁護士の数を急激に増やす国策がとられている。新しい弁護士のなかで、
どれだけこうした子の連れ去り・引き離しという戦術をとりつづけるプロが誕生するか、
あるいはそうした戦術をあらたに取り入れる弁護士が出現するか。
そうした弁護士が、どれだけ新規に離婚したい片親をとりこんでいけるか。

この戦術は、家裁で依頼人を勝たせられる可能性が高い。
しかし、子どもの福祉を考えたら、非人道的である誹りは免れない。
このジレンマをどう考えるかで、ある弁護士がその戦略を採用するかしないかが決まるだろう。
だから、これを採用する弁護士は、おのずと限られるものと思われる。
④期が始まった1995年(平成7年)で10,300件だった面会交流の調停の親受件数は、
2012年(平成24年)には31,421件になっている。

現在、弁護士の数は34000人弱(女性が6000人弱)であるらしい。
しかし、一人の弁護士が何人もの依頼を引き受けることを考えれば、
まだ弁護士のリソースが枯渇することはないだろう。すると、
この増加のペースは、なにか条件を変えない限り、まだ当面は続くことになるだろう。


ちなみに、この何年かは、弁護士数も対数増殖しているといえる。
(厳密には、やや下に凸のカーブなので、対数増殖よりも激しいといえる)。
ここ6年間の増加率がそのままであるのなら、女性弁護士の数は7年で、
総数は12年で倍加する。
それだけの需要があるかどうかは、本論の目的とするところではないが、
一般的には、リソースを食い尽くしてしまうと、定常期を経て死滅記に至ることになる。

2014年6月14日土曜日

最高裁の判例集

「親権or監護」and「子の引渡or人身保護」で検索した結果
詳細
昭和23(オ)130 人身保護請求  
昭和24年01月18日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 横浜地方裁判所
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詳細
昭和29(オ)822 人身保護請求  
昭和29年12月16日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 横浜地方裁判所
全文
詳細
昭和30(オ)81 人身保護請求  
昭和30年09月28日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 横浜地方裁判所
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詳細
昭和30(オ)557 人身保護請求  
昭和31年07月20日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判 長崎地方裁判所
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詳細
昭和32(オ)227 人身保護請求  
昭和33年05月28日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 東京地方裁判所
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詳細
昭和42(オ)1455 違法拘束救済人身保護請求  
昭和43年07月04日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪地方裁判所
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詳細
昭和43(オ)1331 人身保護請求  
昭和44年04月03日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 福岡地方裁判所
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詳細
昭和44(オ)698 違法拘束救済人身保護請求  
昭和44年09月30日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
全文
詳細
昭和45(オ)1006 人身保護請求  
昭和46年02月09日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 高知地方裁判所
全文
詳細
昭和46(オ)656 人身保護請求  
昭和46年11月30日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 津地方裁判所
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詳細
昭和46(オ)760 違法拘束救済人身保護請求  
昭和46年12月21日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 千葉地方裁判所
全文
詳細
昭和47(オ)460 人身保護請求  
昭和47年07月25日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 福岡地方裁判所
全文
詳細
昭和47(オ)698 人身保護請求  
昭和47年09月26日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 広島地方裁判所
全文
詳細
昭和48(オ)1088 人身保護請求  
昭和49年02月26日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪地方裁判所
全文
詳細
昭和53(オ)316 人身保護  
昭和53年04月07日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 神戸地方裁判所
全文
詳細
昭和59(オ)97 人身保護  
昭和59年03月29日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 名古屋地方裁判所
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詳細
昭和61(オ)644 子の引渡  
昭和61年07月18日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻し 長崎地方裁判所
全文
詳細
平成5(オ)609 人身保護  
平成5年10月19日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し 神戸地方裁判所
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詳細
平成5(オ)2108 人身保護  
平成6年02月08日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し 札幌高等裁判所
全文
詳細
平成6(オ)65 人身保護  
平成6年04月26日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し 大阪地方裁判所
全文
詳細
平成6(オ)1437 人身保護  
平成6年11月08日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し 大阪地方裁判所
全文
詳細
平成11(オ)133 人身保護請求事件  
平成11年04月26日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻し 広島地方裁判所
全文
詳細
平成16(あ)2199 未成年者略取被告事件  
平成17年12月06日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 仙台高等裁判所
全文
詳細
平成17(あ)2437 未成年者誘拐被告事件  
平成18年10月12日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄自判 札幌高等裁判所
全文
詳細
平成22(ク)376 人身保護請求棄却決定に対する特別抗告事件  
平成22年08月04日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 大阪高等裁判所
全文
詳細
平成24(許)47 間接強制申立ての却下決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件  
平成25年03月28日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 仙台高等裁判所
全文
詳細
平成24(許)48 間接強制に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件  
平成25年03月28日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 札幌高等裁判所
全文
詳細
平成24(許)41 間接強制決定に対する抗告審の取消決定等に対する許可抗告事件  
平成25年03月28日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 高松高等裁判所
全文

司法統計・なにが相転移の原因?

急激な相転移には必ず原因があって、特定できることがある

調停や審判の事件数の増加傾向が変わったのは、
新しい法律か、法律の適用方法か、
なんらかの変化があったからではないだろうか。

最高裁の判例を見てみよう。裁判所のHPで紹介されている判例を
「親権or監護」and「子の引渡or人身保護」で検索すると、
30件ほどの判例が該当した

多くは、子どもを保護する際の、人身保護法の適用に関する議論である。
審判が正しかったかどうか、高裁への即時抗告の結果は、
基本的に最高裁では扱わないものと思われる。

これらによると、最高裁はわりと一貫して、離婚前の共同親権の際にどちらが
監護するかについて、子の利益を優先して考えることを求めている。
この事情はことに、審判の活用を説いた平成5(オ)609の判決文に詳しい。

これらの判決のなかに、相転移に関与したものがあっただろうか?


①から②へ

この転移は、該当するものが見当たらなかった。
この年には新しい法律や、民法の該当部分への改正もなさそうだ。

偶然かもしれないが、この②の期間は、国際婦人年からの、国連婦人の10年とおよそ一致している。
この間、政府は婦人問題企画推進本部を設置し、さまざまな男女平等への取り組みをしている。
こうした政策のなにかが、増加を緩和したのだろうか?

?? もしかして ??
ここまで、母親優先だったのが、崩れた?

②から③へ

この転移では、原因となったであろう最高裁判決が2つある。

昭和59(オ)97
これは、審判による子の引渡ではなくて、人身保護法をつかってもかまわないという判例。
事件そのものの詳細はわからないながら、子を引き渡すようにという判断である。

もうひとつは
昭和61(オ)644
意思能力のある子どもを、その意思に反してとどめおくことはできない、さらに、
洗脳されていた場合は、自由意志であるとは認められないという、
片親疎外の概念を織り込んだ判断をしている。

どちらも、連れ去り・引き離し親には厳しい判決ではある。
これらが相転移のきっかけになった可能性は多いにあると思う。
ことに後者は、たいへん珍しく、原審の破棄と差戻しをしている。
地裁への影響は大きかっただろう。

③から④へ

このタイミングで最高裁は立て続けに人身保護を4件も、憲法判断でもないだろうに、
原審を破棄、差し戻しをしている。

いずれにも共通するのが、子どもの連れ去りの違法性を重く見ないことである。
なかで最初の判決がその事情を詳細に説明している。いわく、

平成5(オ)609
昭和23年からの大法廷での先例を調べると、重要なのは拘束の違法性よりも、
「夫婦のいずれに監護せしめるのが子の幸福に適するかを主眼として」きた。
そこで、連れ去りや拘束そのものは問題ではなく、人身保護の適用外である。
むしろ家裁できちんと調査して、審判で迅速に判断するべきだ。

これを受けて、
平成5(オ)2108
たとえ乳児を母親のもとから連れ去ったとしても、
子どもの監護状況がさほどかわるわけではない。

平成6(オ)1437
親権を持っているほうが監護すべきだ。

平成6(オ)65
しかし、子の監護に問題があるときは引き渡すべきだ。
監護親に問題があるときは、審判で命令を出すべきだ。

と続いた。要は、それまでの判例を調べて、
連れ去りの違法性をスルーした判断がされていたから、
今後もそうするべきだという主張である。

そのときに、子どもの幸福に関する議論はでてこなかった。
たとえば(母からの乳児の連れ去りを許容した)平成5(オ)2108では、
昭和42(オ)1455を引用しているが、ここにも判断基準があるわけではない。
むしろ平成5(オ)2108は、
乳児を母親と引き離すことの非人道性を認識していた昭和42(オ)1455とは、
いささか異なる基準を用いているともいえる。
あるいはこれが、国際婦人年後の男女同権の考え方なのかもしれない。

いずれにしても、ここからまた増加が始まったとみて間違いないと思う。
連れ去っても(追い出しても)いいというお墨付きが出たわけである。
その際に、どちらが看護しても子どもの幸福に明白な違いがないのなら引き渡さなくていい、
しかし子どもの幸福が何かについては触れない、という判決だった。

2014年6月13日金曜日

司法統計・どこから指数関数的な増殖が始まったのか?

ことばの説明

きまった時間ごとに倍々に増えるこの対数規模の増加のしかたを
指数関数的と表現したり、対数増殖と表現したりする。
ある年のときの事件数は、たとえばこんなふうに表すことができる。

事件数 = a^年 (aの年乗, aは自然数で、この場合1.13くらい)
log(事件数) = log(a) × 年
ここでlog(a)は定数なので、log(事件数) が年に比例することになる。
だから前ページのグラフたちは直線で右肩あがりになっている。

どんな性質?

借金を返さないで、利息が利息を生む状態がこれである。
よく雪だるま式と表現するけれど、厳密には違う。雪だるまが増えるのは表面だけ。
対数増殖はもっと爆発的なのだ。

無菌的な培地に、一匹の菌を接種すると、このような増殖をする。
この増え方は、リソースを食いつくすまで続く(対数増殖期と呼ぶ)。
1リットルの培地に1ミリリットルの菌を植菌すると、
この菌にとっては1000倍の新天地を得たことになる。
それはたいした大きさのようにも思える。
しかし、30分ごとに分裂して倍に増える菌にとって、それは
10回の分裂を賄うには足りないことになる(2の10乗が1024)。
そこで対数増殖期は、最大でも5時間しか続かない。

この問題にとっての決定的なリソースは離婚数である。
現在、それは年間23万件ほど。面会交流の調停が15千件くらいなので
(10倍以上の余地があるので)あと20年程度はこの増加を維持できることになる。
もちろん、そのずっと手前で、なんらかの手をうたないと、地裁がパンクする。

いつ始まった?

司法統計で面会交流等のデータが出ているのは平成10年から。
それまでのは推定するしかないのだけど、乙4の総数が発表されている。

これでわかることは、まず、乙7がおよそ離婚数に比例しているということ。
ことに1980年以降は、一定の割合で、調停と審判とが発生していると考えてよい。

それに比べ、乙4は離婚数とは無関係に増加している。
ことに、戦後の混乱期から急速に減少したあと、1960年代から急激な増加に転じている。


乙4に集中してみよう。
1960年代から、だいたい4つの相があることがわかる。
赤の相①は対数増殖期で、なんとこの相では年率25%の伸び、
これだと2倍になるのに3年くらいしかかからない。

それがやや鈍化して相②に、やがて頭打ちして相③に、また増加がはじまる相④へと続く。
①から②の転移は1975年(昭和50年)くらい。②は86年くらいまでつづく。

相転移がわかりやすいように②から④の間を拡大してみる。
②から③の転移は、86年と87年のあと。
ここで86年がピークになっている、駆け込みが若干あった? ってくらいに。
それから9年ほどの停滞があって④がはじまっている。
しかし④の増加は単純な線形ではない。
たとえば2003年に伸びがとまる。
これは、例の養育費請求の頭打ちによるものである。
ここから先、乙4を押し上げているのは、主に面会交流と子の引き渡し、監護者指定である。

司法統計・そのほかの事件数

そのほかの指標との比較

面会交流(ないし面接交渉)が対数的に増えているのはわかった。
ではその他の事件数はどうだろうか?

離婚前である乙4のほかの項目のなかで、 監護権者の指定や子の引き渡しは、 面会交流とおなじペースで増加していた。 年間12ないし13%の増加、19年ほどで10倍になる。

しかし意外にも、離婚後の子どもの引き渡しに関する乙7には、こうした増加が見られない。

また養育費の請求は、2003年までは面会交流と同じペースで増加していたが、これは2004年で一応の歯止めがかかっている。

これはおそらく、2003年3月に東京・大阪養育費等研究会が発表した
「簡易迅速な養育費の算定を目指して-養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案」(判例タイムス1111号)が、
迅速に受け入れられて、水準として機能したからだろうと推察される。

これによって、不要な紛争が、未然に防止されているのだろう。


調停はどのくらい役立っているのだろうか?

乙7では、だいたい、調停の新受件数のうち26%くらいが審判に移行するようだ(最近は上昇傾向)。
  (当年度の審判の新受件数)/(前年度の調停の新受件数) で推定 
面会交流は17%くらい。養育費請求は13%くらいなので、水準があると調停作業が捗ることがわかる。
もっともこの数年、ことに2012年は、養育費請求が審判に移行する割合が目立って増えている。
日本弁護士連合会から、算定表の見直しの意見書が出されたので、
この水準にチャレンジするケースが増加しているのかもしれない。

ちなみに、子の引き渡しと監護者指定に関しては、調停と審判ではほどんど件数が変わらない。
最近ではむしろ審判のほうが件数が多いくらいである(審判からスタートすることもあるのだろう)。
これらでは調停はまったく機能していないのではないか。

引き離しの件数の推定

面会交流の審判がなされるのは、調停が不調におわった後であろう。
面会交流が子どもの権利と考えられている現状からすれば、
調停員は多くの場合、監護親の説得を試みたはずである。
そこで、この審判の新受件数は、
監護親の意思が堅く、調停員の説得が功を奏せず、
引き離しが継続しているケースの数と考えて、それほど大きな違いはないだろう。

その際に、監護者の指定や、子の引き渡しを同時に訴えることも考えられる。
おそらくそのために、これらの審判の数がおよそ一致して推移しているのだろう。

片親がこどもを一人で監護するのは、かなりの重労働である。
まして就労していれば、その困難さは明らかである。
連れ去り後の早い段階で、子どもと関わることを諦める親も相当数いることだろう。
そこで、この数は、連れ去りの発生件数の推定としては不適当である。

実際、離婚後に紛争が生じる乙7の数は、離婚数の3.3%ほどで一定している。
離婚後に虐待などの問題が発生・発覚する割合が一定しているからだろう。

司法統計・面会交流事件が増えている

面会交流事件がどんどん増えている

まず気付いたことがこれ。

離婚数は減っている(緑色)。
ピークは2002年くらい、
年間に30万件。

ところが、面会交流の
申し立てはどんどん増えている。
いま調停が年間1万件くらい。
グラフがカーブしてるのが
わかるだろうか?

片対数にしてみるとはっきりする。
調停と審判が、
同じ傾きで、
直線的に増加していること
が明らかだ。


これはどういうことか?
   ↓
対数増殖期にあるということ。

複利計算で増えているってこと。
年率にして12ないし13%、
消費者金融の金利と同じくらい。
5年9ヶ月ごとに倍々になる。19年で10倍。


それが処理能力に影響を与えないわけがない。
事実、翌年に繰り越す調停の割合が、
じわじわ上がってきている。

裁判・司法統計を分析・資料

これで論文を書くんですが、製作過程をあげていきます。

記録の入手


裁判所は、毎年、どんな事件が何件くらい裁判所に持ち込まれて、
それがどう裁かれたかについて、統計資料を出している。
ぺらっとした冊子で、もちろん中身にはまったく立ち入らないんだけど、
それでも貴重な資料ではある。

平成12年からのぶんがネットで公開されている。
それ以前のものは冊子体で、たぶん大きな図書館や、
法学部をもっている大学には所蔵されている。

わが県にはそのどちらもなくて、検索をかけても出てこない。
地裁に聞いてみたら、もちろん持っているけど閲覧させる仕組みがないとのこと
(想像:ほかの資料と一緒になっているから、一般人を立ち入らせるわけにはいかない)。
県立図書館にも寄贈しているから、まずはそちらで見ていただけないかと。

あらためて県立図書館に問い合わせたら、平成5年から10年までの冊子体があった。
国会図書館には、戦後のがぜんぶ揃ってるんだろうけどなあ。。。。

まあでも、これでこの20年くらいの情報が。
冊子体ではもっとさかのぼって記録されている情報もあるので、
それらについては戦後の記録がひととおり手に入ったことに。

調べた内容

おもにこの2つ。
家事事件の、
子の監護者の指定その他の処分(乙4)および
親権者の指定又は変更(乙7)の
調停と審判の新受件数。

ざっとしたことをいうと、
乙4はまだ(離婚が確定していない)共同親権のもとでの子どもの扱い、
乙7は離婚後に親権を変更するときに生じる事件。

平成10年からは、この乙4は、さらに細分して次の4つの内訳を見せてくれている。
・監護者の指定
・養育費請求
・面接交渉 (→面会交流へと名前が変わる)
・子の引渡し

法律では

家事審判法の該当箇所
乙類
四 民法第七百六十六条第二項又は第三項(これらの規定を同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分
七 民法第八百十九条第五項又は第六項(これらの規定を同法第七百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による親権者の指定又は変更

民法の、該当箇所の抜粋
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
民法第七百六十六条
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
 2 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。
 3 前二項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。


(離婚又は認知の場合の親権者)
民法第八百十九条
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
 2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
 3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
 4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
 5 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
 6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。 (監護及び教育の権利義務)

まあ明治期からある法律なんで、デフォルトの親権は母親ですが、そこは鷹揚にみましょう(笑)。

面会交流の調停の新受件数は、連れ去り(追い出し)の発生件数に近いのではないか

そもそも面会交流の調停はどんなときにおきるか?
離婚したいのだけれど、子どもをどう監護するかの意見があわない。。。なんてときには起きない。
これは、会えないから会いたい、だから起きる。
いま引き離されているから起きる。
家を追い出されるか、子を連れ去られるかして。

もともと、離婚のほとんどは裁判書を通さないものだった。
当事者が話し合って、まとまれば、市役所に書類を提出しておしまい。
あとまらなければ、円満調停なり、離婚調停なりをするのが本来だった。
ところが、最初に実力行使をして、
子どもを人質にとった上で交渉を有利に進めようという戦術が使われるようになった。
これが、面会交流を調停で話し合う素地になっている。
子の引き渡しや、監護親の指定も、これに類すると考えられる。
ただこれらはさらに、引き離された子どもが適切な監護を受けていない
状況を受けて、申立られるものと考えられる。